先進企業のキーパーソンが見通す マーケティング「これからの10年」 #04Sponsored
マーケター最大の差別化要因は「感性」に【Spotify 田村千秋氏】
2026/08/20
テクノロジーの進化や市場構造の変化に伴い、マーケティングのあり方は次の10年でどう変わっていくのか。本連載「先進企業のキーパーソンが見通す マーケティング『これからの10年』」では、業界を牽引するマーケティング支援企業のキーパーソンたちにインタビュー。
直面する業界の潮流や進化する支援のあり方、10年後に求められる「マーケター像」、そして今「始めるべきこと・やめるべきこと」について、実践的な知見や未来への見通しを聞いた。
直面する業界の潮流や進化する支援のあり方、10年後に求められる「マーケター像」、そして今「始めるべきこと・やめるべきこと」について、実践的な知見や未来への見通しを聞いた。

スポティファイジャパン 広告事業部 執行役員 営業本部長
田村 千秋 氏
早稲田大学卒。新卒広告代理店でのグローバルアカウント担当を経て、2013年にTwitter入社。美容アカウントやグローバルアカウントを担当しながら市場を開拓。2018年にTikTokの運営会社ByteDanceに転職し、グローバルで最初の広告事業の立ち上げを行う。「音の創る感情的なつながり」に興味を持ち、2023年末より現職。
イタリア育ちのラテン気質な、ビールをこよなく愛する一児の母。
田村 千秋 氏
早稲田大学卒。新卒広告代理店でのグローバルアカウント担当を経て、2013年にTwitter入社。美容アカウントやグローバルアカウントを担当しながら市場を開拓。2018年にTikTokの運営会社ByteDanceに転職し、グローバルで最初の広告事業の立ち上げを行う。「音の創る感情的なつながり」に興味を持ち、2023年末より現職。
イタリア育ちのラテン気質な、ビールをこよなく愛する一児の母。
ライフモーメント起点のブランド接触を実現
― これからの10年、マーケティング領域において特に注目すべきと考える変化や潮流は何でしょうか。また、その中でマーケターが直面すると思われる課題についてもお聞かせください。
人間は生まれた瞬間、最初に「声」を発します。
文字をタイプするよりも前に声で伝え、画面をスクロールするよりも前に声を聴いていました。
しかし、マーケティングはスクリーンに最適化され、クリック数、インプレッション、CVRなど測りやすい指標が優先された結果、「人の感情や記憶に本当に残ったのか」という本質的な問いが置き去りにされてきたと感じています。
今、AIの進化がその揺り戻しを起こしています。音声エージェント市場は2034年に475億ドルへ拡大すると予測され、消費者の88%がAIに音声での応答を求めているというデータもあります。
声が新たな「クリック」として機能する時代、コミュニケーションの起点は再びテキストから音声へと回帰していきます。これは懐古ではなく、テクノロジーが人間にとって最も自然なインターフェースにようやく追いついたということです。
マーケターの課題は、この「音の時代」に合った効果測定と体験設計の構築です。スクリーン前提のKPI体系では、音声がもたらす感情的なつながりや記憶への定着を捉えきれません。測定基盤の再設計と、音声ならではのクリエイティブの確立が急務になると考えています。
― その変化・潮流を見据え、どのようなプロダクト・ソリューションでクライアント企業を支えていかれますか。これまでの支援のあり方との違いがあれば、そこにも言及ください。
Spotifyは音楽ストリーミングからビデオやライブ体験まで拡張し、7.61億人が「聴く・観る・参加する・つながる」エコシステムを形成。広告主の80%が、音声広告は他のデジタル広告よりアテンションが高くノイズが少ないと認識しており、MMM調査では音声で純増収益の4~8倍のROIも確認されています。
この強みを生かし、私たちはリスナーのムード・日課・行動に基づくダイナミックなパーソナライズで、「朝の通勤」「夕方のワークアウト」といったライフモーメント起点のブランド接触を実現します。
従来のデジタル広告がデモグラフィックと枠の購入だったのに対し、Spotifyが届けるのは「いつ・どんな気分で・何をしているか」という生活文脈への接続です。加えてSpotify広告マネージャーにより、幅広い広告主が広告をセルフサーブで柔軟に出稿でき、既存の運用体制に組み込みやすい設計も整えています。
枠を売るのではなく、一人ひとりの生活に溶け込むブランド体験を届ける。これがSpotifyの広告の形です。
― 10年後、最も活躍しているマーケターはどのような人物だと思われますか。現在のマーケターとの違い、求められる能力や価値観、AIとの役割分担についてお聞かせください。
AIがメディアプランニングや入札最適化を担う世界では、マーケターの最大の差別化要因は「感性(Taste)」になると考えています。
AIが生み出す均質的なコンテンツがあふれるなかで、希少価値を増すのは、実体験とカルチャーに根ざしたニュアンスに基づいてコンテンツを選び取る人間のセンスです。
Spotifyでは100人超のエディトリアルチームが「なぜこれが文化的に意味があるのか」という文脈をアルゴリズムに重ね、「Spotifyまとめ」のような独自の体験を生み出しています。これはまさに感性とテクノロジーの協働であり、私たちが考える理想的なAIとの役割分担の姿です。
現在のマーケターがデータの「読み手」だとすれば、10年後に活躍するのはデータの読解を前提としたうえで、AIの出力を的確な「問い」で制御し、音声・映像・テキストを横断してブランドの世界観を設計できる「編集者」です。AIが最適解を高速に提示する時代だからこそ、人間の役割はその選択肢に意味と物語を与えることに移ります。効率はAIに委ね、マーケターは「何を選び、何を捨て、なぜそれを届けるのか」という判断と意志で価値を生む存在になるでしょう。
― 10年後も競争力を持ち続けるために、ブランド企業が「始めるべきこと」と「やめるべきこと」を一つずつ挙げるとしたら何でしょうか。
始めるべきことは「サウンドオン戦略」、つまり音声をメディア戦略の後付けではなく中核に据えることです。サウンドロゴ、ブランドの声やトーン、一貫した音楽の世界観といったサウンドアイデンティティを、ビジュアルアイデンティティと同様に資産として積み上げていく。
消費者の36%がSNS広告より音楽・ポッドキャスト広告を信頼しているというデータが示すとおり、音声への投資はブランドへの信頼構築に直結します。Spotifyではリスナーのムードや日課に合わせたターゲティングにより、ブランドが生活の自然な文脈に溶け込む接点を日々提供しています。音声に資産を築かないブランドは、こうした親密な瞬間を競合に明け渡すことになりかねません。
一方、やめるべきことはスクリーン偏重・ラストクリック偏重の効果測定です。音声の価値はクリックでは測れません。広告主の80%が音声広告の信頼度を高く評価しながらも、予算配分がそれを反映しきれていないのが現状です。この矛盾を解消するために、BLSやMMMを組み合わせた多層的な効果測定への移行が不可欠です。測りやすさではなく、届いた実感を測る。その転換が10年後の競争力を左右すると考えています。
※写真はナノベーション10周年記念パーティ「Nanovation GALA 2026」にて撮影




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