先進企業のキーパーソンが見通す マーケティング「これからの10年」 #01Sponsored

マーケターはブランド体験全体の「オーケストレーター」に【トレジャーデータ 宮野淳子氏】

 テクノロジーの進化や市場構造の変化に伴い、マーケティングのあり方は次の10年でどう変わっていくのか。本連載「先進企業のキーパーソンが見通す マーケティング『これからの10年』」では、業界を牽引するマーケティング支援企業のキーパーソンたちにインタビュー。

 直面する業界の潮流や進化する支援のあり方、10年後に求められる「マーケター像」、そして今「始めるべきこと・やめるべきこと」について、実践的な知見や未来への見通しを聞いた。
 
トレジャーデータ CMO / CBO
宮野 淳子 氏

ロレアル パリ日本市場の立ち上げを牽引後、アマゾン、ジョンソン・エンド・ジョンソンを経て、ゴディバでCDOとしてマーケティングおよびDX領域を歴任。2024年11月よりトレジャーデータのCMOに就任。AIとMAを一体化したCDPの力で、企業の顧客体験の未来を切り拓くことをミッションに、市場拡大を牽引している。Monash大学大学院およびロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)大学院卒業。
 

テクノロジーで人間の価値を最大化する


― これからの10年、マーケティング領域において特に注目すべきと考える変化や潮流は何でしょうか。また、その中でマーケターが直面すると思われる課題についてもお聞かせください。

これからの10年、AIの本格的な普及により高度なデジタルパーソナライズは「当たり前」のコモディティとなります。それゆえに「AI時代だからこそ、人間にしか提供できない感情的なつながりや、オフラインでのリッチな顧客体験が最大のブランド価値になる」というパラダイムシフトが起きています。

すべてをデジタルで完結させるのではなく、テクノロジー(データやAI)を駆使し、「いかに『人』にしかできないおもてなしや実体験を拡張・演出できるか」がこれからの主戦場です。実はトレジャーデータ自身もテクノロジー企業でありながら、クライアント支援においてこの「人によるおもてなしの心」を非常に重視しています。データという無機質なものに温かみを持たせ、ユーザーとの感情的なつながりを体現する存在として「トレニャー」を誕生させたのも、そうした私たちの想いの表れです。

この中でマーケターが直面する最大の課題は「デジタルと人のシームレスな融合」です。たとえば、我々が提供する「Treasure AI Voice」のような音声ソリューションは、店舗やコールセンターでの「顧客の生の声(感情やニュアンス)」を解析しデータ統合します。AIが導き出した深いインサイトを、現場のスタッフへリアルタイムに還元し、文脈に沿った温かみのある体験へと昇華させる。このようにオン/オフのデータ分断を解消し、テクノロジーの力で人間ならではの価値をどう最大化して実装するかが、最も困難で重要なミッションになると考えています。

― その変化・潮流を見据え、どのようなプロダクト・ソリューションでクライアント企業を支えていかれますか。これまでの支援のあり方との違いがあれば、そこにも言及ください。

「デジタルと人のシームレスな融合」という潮流を見据え、Treasure AIは単なるマーケティングツールを超え、企業が「コネクテッド・カスタマー・エクスペリエンス」を実現するための基盤を提供します。

これまでのCDPによる支援は、主にWeb上の行動ログの統合や広告配信の最適化といった、デジタル空間内での効率化やマーケティング部門内の課題解決が中心でした。しかし、これからの支援のあり方は根本的に異なります。

今後は、デジタルデータだけでなく「Treasure AI Voice」で収集・分析した音声データや店舗での接客履歴といった、オフラインの「感情」や「文脈」を含めてデータを統合します。そして、AIがそこから引き出した深いインサイトを、デジタル上の施策に使うだけでなく、営業、カスタマーサポート、店舗スタッフなど、顧客接点に立つ「人」へリアルタイムに届けます。

デジタルで完結させるのではなく、全社が同じ顧客理解を共有し、現場のスタッフが「極上の人間的おもてなし」を提供できる状態を作ること。テクノロジーを使って「人」の価値を最大化する全社のデータ統合ハブとして、クライアントの競争力向上を支援していきます。

― 10年後、最も活躍しているマーケターはどのような人物だと思われますか。現在のマーケターとの違い、求められる能力や価値観、AIとの役割分担についてお聞かせください。

10年後、最も活躍しているマーケターは、デジタル空間に留まらずオフラインを含めたブランド体験全体を設計する「オーケストレーター」です。

現在のマーケターが時間を割いているデータ分析や施策の実行は、ほぼ完全にAIに代替されます。そのため、膨大なデータの処理や最適化といった「How(手段)」はAIに委ねます。

代わりに求められるのは、AIが導き出したインサイトを、店舗スタッフや営業といった「人」の接点にどう連携し、温かみのある「おもてなし」に変換するかを構想する能力です。データだけでは測れない顧客の感情を読み解く「深い共感力」と、テクノロジーと人間の接合点をデザインする力が問われます。

もはやマーケティング部門だけに閉じることなく、全社の顧客接点を横断して「ブランドとしてどう顧客の感情を動かすか(Why)」に集中し、最も「人間らしい感性」を持ってテクノロジーを使いこなせる人物こそが、未来のトップマーケターとなると考えています。

― 10年後も競争力を持ち続けるために、ブランド企業が「始めるべきこと」と「やめるべきこと」を一つずつ挙げるとしたら何でしょうか。

始めるべきことは、顧客接点に立つ「人」をテクノロジーでエンパワーメントする組織づくりです。

オンラインの行動データだけでなく、営業担当や店舗、コールセンターでの音声・感情データを含めて全社で統合し、現場のスタッフが瞬時に顧客の文脈を理解できる仕組みを構築し始めるべきです。AIとデータを使って、スタッフがいかに「人間らしい極上のおもてなし」に集中できる環境を作れるかが、中長期的なブランドへの愛着(LTV)を決定づけると思います。

やめるべきことは、デジタル完結の効率化のみを追求し、部門ごとに分断されたシステム投資を続けることです。 部門ごとにデータや組織がサイロ化された状態では、一貫した顧客体験は生まれません。短期的なデジタル上のコンバージョン(CPA等)だけを追う焼畑的な施策をやめ、全社横断で「デジタルと人のシームレスな融合」に舵を切る企業こそが、10年後も圧倒的な競争優位性を持ち続けるはずです。

※写真はナノベーション10周年記念パーティ「Nanovation GALA 2026」にて撮影

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