先進企業のキーパーソンが見通す マーケティング「これからの10年」 #07Sponsored

マーケターはクリエイティブとエンジニアリングを統合・価値化する「ストーリーテラー」に【アマナ 金子剛章氏】

前回の記事:
価値発揮するのは「プランと現実のギャップ」を最速修正できるマーケター【テレビ東京コミュニケーションズ 津田一成氏】
 テクノロジーの進化や市場構造の変化に伴い、マーケティングのあり方は次の10年でどう変わっていくのか。本連載「先進企業のキーパーソンが見通す マーケティング『これからの10年』」では、業界を牽引するマーケティング支援企業のキーパーソンたちにインタビュー。

 直面する業界の潮流や進化する支援のあり方、10年後に求められる「マーケター像」、そして今「始めるべきこと・やめるべきこと」について、実践的な知見や未来への見通しを聞いた。
 
アマナ 代表取締役
金子 剛章 氏

2008年にオプトへ入社し、新規事業の立ち上げに従事。カリフォルニアルーセラン大学院にてMBAを取得後、2013年より医療系広告制作会社・医薬情報ネットに参画。代表取締役として事業再生に取り組むとともに、複数の新規事業を立ち上げる。2020年10月、JMDCへ同社株式を譲渡し、3年間のPMIを経て現職。2023年12月、アマナ代表取締役に就任。
 

「ポイントオブビュー」がブランドの強さを左右する


― これからの10年、マーケティング領域において特に注目すべきと考える変化や潮流は何でしょうか。また、その中でマーケターが直面すると思われる課題についてもお聞かせください。

これからの10年で最も大きい変化は、マーケティングが「情報を届ける技術」から「企業の思想や価値観を社会にどう翻訳するか」という領域へ、より明確に移っていくことだと考えています。AIの進化によって調査、コピー作成、画像・動画生成、運用改善といった実務は急速に効率化され、一定品質のアウトプットは誰でも短時間でつくれるようになります。その結果、手法や表現は均質化し、見た目の差だけでは選ばれにくくなるはずです。

一方で、情報量が増えるほど、受け手は「何を言っているか」以上に「なぜこの企業なのか」「どの立場から語っているのか」を見ます。つまり、今後の競争軸はテクニックではなく、企業やブランドが社会をどう見ているかという視点、すなわちポイントオブビューを持てるかどうかに移っていきます。マーケターの課題は、AIを使いこなすこと以上に、表層的な訴求に流されず、企業の存在意義や文脈を定義し直し、それを一貫した体験として設計することだと思います。

― その変化・潮流を見据え、どのようなプロダクト・ソリューションでクライアント企業を支えていかれますか。これまでの支援のあり方との違いがあれば、そこにも言及ください。

企業の思想やブランドの核を可視化し、継続的な価値へとつなげるパートナーとして支援していきます。AIによって制作の効率化が進むほど、私たちが担うべき役割は、クリエイティブの量産ではなく、企業の歴史や哲学、ブランドの「らしさ」を掘り下げ、それを一貫したコミュニケーションや体験に落とし込むことになります。

これまで以上に企画・表現・実装を分断せず、一気通貫で設計することが重要になります。企業の中長期のブランド価値を高めるために、戦略とクリエイティブを横断して支えるソリューションを提供していきたいと考えています。

― 10年後、最も活躍しているマーケターはどのような人物だと思われますか。現在のマーケターとの違い、求められる能力や価値観、AIとの役割分担についてお聞かせください。

10年後に最も活躍しているマーケターは、クリエイティブとエンジニアリングの両方を一気通貫で理解し、それらを統合して価値に変えられるストーリーテラーだと思います。

従来は戦略、制作、技術が分業されることが多くありましたが、今後はそれらをまたいで全体を構想できる力がより重要になります。AIは分析や生成、検証の一部を担う強力なパートナーになりますが、ブランドの方向性を決める意思や、文脈をつなぐ解釈力は人にしか担えません。これからのマーケターには速さや正確さに加え、編集力、構想力、そして企業や社会に対する深い理解が求められると考えます。

― 10年後も競争力を持ち続けるために、ブランド企業が「始めるべきこと」と「やめるべきこと」を一つずつ挙げるとしたら何でしょうか。

始めるべきことは、自社の歴史や企業らしさ、企業哲学を起点にしたブランドづくりを、経営の中心課題として捉えることです。今後は、商品やサービスの機能的な差だけで競争することがますます難しくなり、どのような立場で社会を見ているのか、何を大切にしている企業なのかというポイントオブビューが、ブランドの強さを左右すると考えています。単なるポジショニングではなく、社会や生活者に対して自社がどう世界を見ているのかを明確にすることが重要です。

やめるべきことは、短期的な成果だけを前提に、施策を個別最適で積み重ねることです。広告や販促だけで勝とうとするのではなく、商品開発、接点設計、体験設計まで含めて一貫性を持たせる必要があります。企業の姿勢や信頼を長期で育てる視点に、より多くの投資を振り向けるべきだと考えています。

※写真はナノベーション10周年記念パーティ「Nanovation GALA 2026」にて撮影

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