先進企業のキーパーソンが見通す マーケティング「これからの10年」 #03Sponsored
マーケターは肩書き消える? 求められるのは「顧客体験のアーキテクト」【DAZN 黒川佳則氏】
2026/08/19
テクノロジーの進化や市場構造の変化に伴い、マーケティングのあり方は次の10年でどう変わっていくのか。本連載「先進企業のキーパーソンが見通す マーケティング『これからの10年』」では、業界を牽引するマーケティング支援企業のキーパーソンたちにインタビュー。
直面する業界の潮流や進化する支援のあり方、10年後に求められる「マーケター像」、そして今「始めるべきこと・やめるべきこと」について、実践的な知見や未来への見通しを聞いた。
直面する業界の潮流や進化する支援のあり方、10年後に求められる「マーケター像」、そして今「始めるべきこと・やめるべきこと」について、実践的な知見や未来への見通しを聞いた。

DAZN Japan Investment G.K. シニアバイスプレジデント
黒川 佳則 氏
2015年にTwitter Japanに入社。広告事業の執行役員としてBrand(広告主)のマーケティングにツイート量などのKPIを導入し顧客のビジネスを拡大させてきた。その後、スポティファイジャパンで広告事業の執行役員としてMusic&Podcastを活かした新たな広告戦略をリード。
現在DAZNにてSVPとしてMedia事業を統括しており、「Connect with Fans' emotions」を軸にブランドと消費者の架け橋になるサービスを構築。スポーツが持つ熱狂を最大化し、ブランドのビジネス成長を支援する新たなエコシステムの構築を行なっている。
黒川 佳則 氏
2015年にTwitter Japanに入社。広告事業の執行役員としてBrand(広告主)のマーケティングにツイート量などのKPIを導入し顧客のビジネスを拡大させてきた。その後、スポティファイジャパンで広告事業の執行役員としてMusic&Podcastを活かした新たな広告戦略をリード。
現在DAZNにてSVPとしてMedia事業を統括しており、「Connect with Fans' emotions」を軸にブランドと消費者の架け橋になるサービスを構築。スポーツが持つ熱狂を最大化し、ブランドのビジネス成長を支援する新たなエコシステムの構築を行なっている。
「熱狂への参加機会」を提供
― これからの10年、マーケティング領域において特に注目すべきと考える変化や潮流は何でしょうか。また、その中でマーケターが直面すると思われる課題についてもお聞かせください。
今後10年のマーケティングで最も大きな変化は、AIの台頭による価値観の変化だと考えます。「人々が自発的に時間を使いたくなる存在になれるか」という一点になります。
Fandomの観点から見ると、ファンは試合を観るために週末の予定を変え、深夜まで起き、仲間と語り、負ければ落ち込み、勝てば喜ぶ。そこには広告では買えない感情的なつながりがあります。今後はあらゆるブランドが、このような熱量の高いコミュニティを持てるかどうかが競争力になるでしょう。
一方で課題は、効率化の罠に陥ることです。AIによってCPAやROASは最適化できますが、熱狂や愛着は最適化できません。短期成果だけを追えば追うほどブランドはコモディティ化します。
「いかに広告を見せるか」ではなく、「人々が参加したくなる物語や体験をどう生み出すか」です。AIが効率を担う時代だからこそ、人間は本来持っている熱狂などさまざまな感情を生み出す仕事に集中すべきだと考えています。
― その変化・潮流を見据え、どのようなプロダクト・ソリューションでクライアント企業を支えていかれますか。これまでの支援のあり方との違いがあれば、そこにも言及ください。
これまでスポーツ配信は「観るもの」でした。しかし今後は観るだけでなく、応援し、参加し、共有する体験へと進化していきます。
スポーツが持つ最大の価値はコンテンツではなく熱狂です。そして熱狂は、人とのつながりの中で増幅します。だからこそDAZNは、単なる配信プラットフォームではなく、ファン同士、ファンとクラブ、ファンとブランドをつなぐ参加型プラットフォームへ進化したいと考えています。
その中でブランド企業も広告主として存在するのではなく、ファン体験を共創するパートナーになることが重要になります。たとえば視聴体験をより豊かにするサービスや、応援する喜びを広げる仕組み、スポーツを通じて社会や地域とつながる機会など、ブランドが提供できる価値は数多く存在します。
従来の支援は「どれだけ多くの人に見てもらうか」が中心でした。しかしこれからは、「どれだけ深く参加してもらえるか」が問われます。私たちが提供するのは広告接触ではなく、熱狂への参加機会です。
スポーツ観戦が人生の一部になるように、ブランドもまた生活者の体験の一部になれる。そのためにDAZNは視聴・応援・参加の各体験を融合した新しいスポーツエンターテインメントの価値を創造し、企業とともに成長していきたいと考えています。
― 10年後、最も活躍しているマーケターはどのような人物だと思われますか。現在のマーケターとの違い、求められる能力や価値観、AIとの役割分担についてお聞かせください。
「マーケター」という肩書き自体が変わっている可能性があります。
AIが分析、制作、配信、最適化まで担うようになると、マーケティングは専門機能ではなく企業活動そのものになります。顧客獲得、プロダクト開発、顧客体験、収益最大化は一体化し、現在のCMOやCRO、プロダクト責任者といった役割の境界も曖昧になっていくでしょう。
その時に求められるのは広告やコミュニケーションの専門家ではありません。顧客価値と事業価値を同時に設計できる人です。
スポーツビジネスでは観る体験、応援する体験、参加する体験が分断されていては、熱狂は生まれません。同じように企業も、マーケティングだけが顧客を理解する時代ではなくなります。商品設計からサービス体験、コミュニティ形成までを一貫して構想できることが重要になります。
AIは人間の代わりに意思決定を支援する存在になります。しかし何を最適化するのか、どんな世界観を目指すのかまでは決められません。必要なのは施策を考える力ではなく、未来を構想する力です。
10年後に最も活躍するのはマーケターというより「顧客体験のアーキテクト」であり、「事業そのもののデザイナー」ではないでしょうか。人々が集い、参加し続けたくなる体験を設計できる人が、最も大きな競争力を持つと考えています。
― 10年後も競争力を持ち続けるために、ブランド企業が「始めるべきこと」と「やめるべきこと」を一つずつ挙げるとしたら何でしょうか。
始めるべきは「顧客をファンとして経営すること」、やめるべきは「既存ビジネス構造上のプランニング」です。
これまでは自社の商品カテゴリーや流通チャネル、サプライチェーンなどの環境を前提に成長戦略を描いてきました。しかしAIが普及し、あらゆる産業の境界が曖昧になる中、その前提自体が急速に意味を失いつつあります。
10年後に競争する相手は、必ずしも同業ではないかもしれません。実際に私たちもスポーツ配信事業でありながら、本質的にはSNSやゲーム、ライブエンターテインメント、さらには生成AIが生み出す新しい体験とも時間を奪い合っています。
経営の出発点は、その人の人生の中でどんな価値を提供し続けるのか。その問いから逆算すると、事業の形は変わっても顧客との関係は継続できます。
スポーツでは、ファンは試合という商品を買うのではなく、所属意識や誇り、仲間とのつながりに価値を感じています。その関係性があるからこそ、競技や視聴環境が変化してもファンであり続けます。
10年後に競争力を持つ企業は、現在の事業モデルをうまく改善した企業ではなく、顧客との関係性を起点に何度でも自己変革できる企業だと思います。AI時代における最大の資産は商品でもチャネルでもなく、顧客から選ばれ続ける理由そのものではないでしょうか。
※写真はナノベーション10周年記念パーティ「Nanovation GALA 2026」にて撮影




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