先進企業のキーパーソンが見通す マーケティング「これからの10年」 #06Sponsored

価値発揮するのは「プランと現実のギャップ」を最速修正できるマーケター【テレビ東京コミュニケーションズ 津田一成氏】

前回の記事:
マーケターに求められるのは「ブランドの生き方」を選ぶ思考力【BICP 菅恭一氏】
 テクノロジーの進化や市場構造の変化に伴い、マーケティングのあり方は次の10年でどう変わっていくのか。本連載「先進企業のキーパーソンが見通す マーケティング『これからの10年』」では、業界を牽引するマーケティング支援企業のキーパーソンたちにインタビュー。

 直面する業界の潮流や進化する支援のあり方、10年後に求められる「マーケター像」、そして今「始めるべきこと・やめるべきこと」について、実践的な知見や未来への見通しを聞いた。
 
テレビ東京コミュニケーションズ 企画営業担当部長
津田 一成 氏

流通業界で店舗運営を経験後、インターネット広告黎明期からデジタルマーケティング領域に携わる。ソーシャルメディアの企業・官公庁向け活用支援、タレントのデジタル施策や番組プロデュース、オウンドメディアやネイティブ広告を活用した企業支援などを経験。現在はテレビ東京グループのメディアやコンテンツを活用した統合マーケティング施策の企画営業に加え、テレ東BIZのスポンサードコンテンツについて営業・企画・プロデュースまで幅広く携わっている。
 

やることと同じだけ、やらないことを決める


― これからの10年、マーケティング領域において特に注目すべきと考える変化や潮流は何でしょうか。また、その中でマーケターが直面すると思われる課題についてもお聞かせください。

これからの10年、生活者とブランドの間にAIが入ります。検索や比較のフェーズで膨大な選択肢はAIに要約される。生活者を説得する前に、AIと人にとっての「候補に残る」ことが課題になります。

性能や価格といったファンクショナルな価値は候補に残るための条件になります。ただ、比較可能な情報ほどコモディティ化し、選ばれる理由にはなりにくい。一方、エモーショナルな価値はスペックの優劣では決まりません。生活者が自分ごと化できたとき、はじめて理解や共感になります。

また、レコメンドの精度が上がるほど、探していないコンテンツ、つまり興味のないカテゴリーや社会的なイシューとは出会う場面が減っていきます。だからこそ、関心の外側での出会いをこちら側からデザインする。セレンディピティの演出です。

難しいのは、マーケター自身もパーソナライズされた情報環境にいることです。自社と既存顧客の周辺だけを見てマーケットを語れば、ズレは広がります。インサイトも文脈も違う相手が、各エントリーポイントからブランドの価値に触れられるか。AIに見つけてもらう精度と、生活者が自分の文脈で意味を見いだすエントリーポイント。この二つは、切り離して設計できません。

― その変化・潮流を見据え、どのようなプロダクト・ソリューションでクライアント企業を支えていかれますか。これまでの支援のあり方との違いがあれば、そこにも言及ください。

広告は手段で、ゴールは課題解決です。だから最初に目的を固めます。手段が多いほど、アクションも期待する効果もブレるからです。やることと同じだけ、やらないことを決める。

軸は二つ。テレ東BIZのスポンサードコンテンツは、企業の事業課題を社会や経済のアジェンダへ置き直し、番組や動画で深い理解と信頼をつくります。もう一つの広告付き無料配信「ネットもテレ東」(TVer)はデモグラフィックや興味関心で確度高くターゲティングし、番組視聴の流れでノンスキッパブルの動画を届けます。

ターゲティングの精度だけでは関心の外側にリーチできません。番組、IP、イベント、データといったアセットを目的に合わせて組み替え、足りないものはつくり、外部とも組む。課題解決型ソリューションを重ねれば、タッチポイントやオペレーション改善まで踏み込めます。

スポンサーの意向、視聴者の関心、媒体の信頼、広告成果は簡単には一致しません。無難に整えるほど、誰にも強く届かない企画になります。見られたコンテンツが効くコンテンツとも限りません。再生数の先でビジネスの何が動いたか。どこが見られ、どこで離脱されたか。そこまでを引き受け、次のプランニングに反映するのが、これまでとの違いです。

― 10年後、最も活躍しているマーケターはどのような人物だと思われますか。現在のマーケターとの違い、求められる能力や価値観、AIとの役割分担についてお聞かせください。

10年後に最も活躍するのはAIを使いこなし、半歩先に仮説を置き、プランと現実のギャップを最速で修正できる人だと考えています。

AIに仕事を奪われるかどうか語る段階は終わります。働き手が減る日本では、AIで自分のケイパビリティをどこまで拡張できるかを考えたほうが早い。拡張されるのは、人が積み上げた事業理解とカスタマー理解です。同じAIでもプロンプトの精度でアウトプットは変わる。AIは使う側のスキルとの掛け算なので、パフォーマンスの差は開きます。

平均的なアウトプットは同質化し、遠い未来を当てにいくほど検証サイクルは遅くなる。だから半歩先に仮説を置き、実行し、リアクションを見て、前提をアップデートする。プランを遂行する力に加えて、変える判断とスピードが価値になります。

コンテンツの現場もこの繰り返しです。企画段階ですべては決まらず。スポンサーの意向、出演者の言葉、世の中の空気、公開後のデータを見て、テーマもクリエイティブもデリバリーも変わる。理想論だけでは予算も社内承認も動かず、数字だけを追えば広告として見透かされます。決めるのは人。目的を定め、優先順位をつけ、結果に責任を持つ。AIが速くしてくれるのは、その過程です。

― 10年後も競争力を持ち続けるために、ブランド企業が「始めるべきこと」と「やめるべきこと」を一つずつ挙げるとしたら何でしょうか。

始めるべきことは、社内に「編成」の機能を持つことです。放送では、何を、いつ、どの枠で流すかを決める仕事を編成と呼びます。企業にも同じ判断が要る。自社が伝えたいこと、生活者が知りたいこと、社会にとって意味があること、選んだチャネルで実際に届くこと、事業成果につながること。この五つを突き合わせ、何を、どこで、どの順で出すかを決める。制作はアウトソースできますが、判断の軸まで預けると、決めた理由が社内に残りません。

やめるべきことは、短期KPIで説明しやすい施策だけを残すことです。売上、リード、視聴、コンバージョンは必要で、否定しません。問題は、すぐ測れるものだけを価値と認めた結果、認知、信頼、想起、将来のオプションが予算表から消えることです。ブランドエクイティという言葉で成果責任を曖昧にするのも違います。直近の事業成果、タッチポイントへのリアクション、中長期のブランド資産。三つを分け、別のタイムスパンで見る。

コンテンツは飽和し、これからも増え続けます。一方で、生活者が消費できるキャパシティは限られています。そこでAIが、見るべきものへの最短距離を示すようになる。企業に問われるのは、その導線にどう自然に入るかです。言いたいことを詰め込んだ企画ではなく、消費したくなるコンテンツへ編集し、届くタイミングとタッチポイントまで含めて編成する。短期KPIだけで選ぶと、そこではなく測りやすさで企画が決まります。編成とは本来、その判断のことです。10年後、AIが示す最短距離の先に置かれているのは、どんなコンテンツでしょうか。

※写真はナノベーション10周年記念パーティ「Nanovation GALA 2026」にて撮影

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