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大企業でイノベーションがうまくいかない理由【ネスレ本社バイスプレジデントが語る変革の流儀】

大企業のイノベーションがうまくいかない理由

——大企業がイノベーションを生み出そうとしても、うまくいかないケースが多いと思います。その理由は、何ですか。


 大企業のチャレンジが失敗してしまう理由のひとつに、イノベーションを「Renovation(修復)」や「optimization(改良)」と勘違いしていることが挙げられます。真のイノベーションには、少しの変化ではなく大きなステップアップが必要なのです。

 重要なのは「Trend (トレンド)」と「Disruption(破壊)」の違いについて認識することです。多くのマーケターは、現在起きている流れから推測できる「Trend (トレンド)」ばかりにフォーカスを当てます。一方で「Disruption(破壊)」は、「Break (亀裂)」と呼ぶこともできます。

 例えば、NETFLIXは「Break」を起こした企業です。これまで、私たちは広告主がコンテンツを支援することで、無料でコンテンツを見てきました。それが、NETFLIXやAmazon primeなどサブスクリプションモデルにシフトしています。その環境下で、広告主はどこで消費者にアプローチできるのか、その解決方法は見えていません。
 

——「Break」を起こすためには、何が必要ですか。


 まずは、「importance of listening (聞くことの重要性)」を考慮すべきでしょう。企業は、社会や消費者に対する、強力な「listener(利き手)」でなければいけないのです。そして、スタートアップ企業のように行動する必要があります。



 これは「Formal (公式) 」VS「Informalインフォーマル(非公式)」の加減の問題です。大企業は危機に直面していることに気づき、その上で従業員に権限を与えて消費者にオープンになり、ビジネスモデルをシフトさせていくのです。そこで重要になるのが、先ほど指摘した「listening (聞くこと)」です。私たちもミレニアル世代への「listening」を通して、彼ら彼女らがオーガニックでヘルシーな少量の食事を好むことが分かりました。グローバルな食品会社として、この動向にどう向き合うべきか考えなければいけないでしょう。

 特にミレニアル世代は、透明性や真実性を求め、企業からのフィードバックに価値を感じています。ここで企業が気づく必要があるのは、ネクタイを少し緩めて「Informalインフォーマル(非公式)」を意識して、ヒエラルキーを無くしフラットにしない限り、進化が起きないということです。ネスレのリーダーシッププログラムの中には、テクノロジーに一番近い存在である若い世代が、上の世代に教えることを行っています。若いネスレ社員がエグゼクティブ層に教えるのです。
 

——ネスレでは、どのようなイノベーションが起きていますか。


 例えば、コーヒー・エスプレッソマシン「ネスプレッソ」は、サブスクリプションベースにデジタルチャンネルで売上を伸ばしています。また、「ネスカフェドルチェグスト」もそうでしょう。

 その他にも、我々はオンライン上のペットアダプションサービス「Petfinder.com」を展開しています。また最近、英国のドッグフードサービス「tails.com」を買収しました。これは実際のペットフードという形のある商品を扱っていますが、オンライン上で犬の健康状態を記入してもらうなどエントリーポイントはデジタルになります。

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