ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #23
週次のKPIレポートを自らSQLを叩き作成。高級宿予約Webサイト「一休」再成長を支えた社長業
一休の独自性をデータサイエンスで強化したい
田岡 今後、社長として取り組んでいかれようと考えていることはありますか。 エトヴォス 取締役 COO(最高執行責任者) 田岡敬氏 リクルート、ポケモン 法務部長(Pokemon USA, Inc. SVP)、マッキンゼー、ナチュラルローソン 執行役員、IMJ 常務執行役員、JIMOS(化粧品通販会社)代表取締役社長を経て、ニトリホールディングス 上席執行役員。2019年1月21日より、エトヴォス 取締役 COO。
榊 社長としては、あまりありませんが、一社員としてはデータサイエンスやAIに取り組んでいきたいと思っています。今後は、データサイエンスチームがいろいろなことを推進していくようになります。特に一休がホテル事業のほかに手がけているレストラン事業は、予約やレコメンド、検索表示など、まだまだ改善の余地が大きいです。
例えば今、渋谷のイタリアンでデートに向いている店を検索すると、返ってくる結果は正直なところ良くありません。なぜならば、機械にとってデートが何かは意味不明だからです。そこには、きちんとテキストの自然言語処理を当てていかないといけません。
僕らはスペシャリティ検索サイトとしてGoogle検索にできないことを提供しているサービスなので、レストランや宿に詳しいだけだと今ひとつです。レストランや宿を探しているユーザーに詳しくなりそれをサービスに反映していかなければいけないため、そこはサイエンスで強力に押していきたいと思っています。
田岡 一社員として、とおっしゃっていましたが、社長というよりも社員という意識が強いのですか。
榊 そうですね。僕はオフィスでも社員と同じ席に座っていますし、社長業をしているのは、社員にレポートを共有して、さまざまなチームとミーティングする月曜日だけです。それ以外は、コードを書いたり、新しく取り入れたロジックのコンバージョンを確認したり、一人の社員として会社に貢献することを意識しています。
田岡 でも、大きな方針決定もされるんですよね。
榊 それはそうですが、どちらかといえば主役は事業本部長で、決めて進めていくのは彼らに一任しています。それが、僕が会社に貢献する在り方ではないかと考えています。