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「マーケターの価値を明らかにしていく」マーケターキャリア協会が設立発表会を開催

「マーケターのキャリアや未来を良いものにしたい」

 今月1日に設立されたマーケターキャリア協会(MCA)の設立発表会が5日、都内で開催された。本協会は、マーケターが高度な能力を持つ専門職であり、社会やビジネスにおいて必要不可欠な人材であることを発信しながら、マーケターのキャリア構築に関する支援活動などを行う。
 
小野進一氏 (ホールハート 代表取締役CEO)代表理事
 代表理事を務める小野氏は、「私自身は広告業界のマーケターやクリエイターの転職支援を10年ほど経験した後に起業し、現在はIT・Web業界の転職支援を手がけている。これまで2万人以上のキャリア相談にのってきた中で、会社の事業としてだけでなく、本当にマーケターのキャリアに向き合いたいという気持ちが強くなってきた。マーケターは転職市場での価値は高いが、起業したり、フリーランスになったりする道は、あまり開かれていないなど課題も多い。一方でマーケティングそのものについて考える協会は多いが、マーケターのキャリアを考える団体はなかった。協会の活動を通して、企業経営に役立つことを明らかにして、参加する皆さまのキャリアや未来を良いものにしていきたい」と意気込みを語った。

 続いて、事務局を務める中村全信氏から協会の活動方針が紹介された。「ビジネスを動かすマーケティングの貢献度を可視化する」「プロフェッショナルとしてのマーケターのキャリア構築を支援する」「ビジネスパーソンのマーケティング思考を育成する」の3つを紹介し、「マーケティングがどれだけ企業に貢献しているのかを明らかにしていきたい」と語った。また、活動の目玉として、マーケターがメンターを務める「メンターシッププログラム」を開始すると説明した。
 
中村全信氏 (マーケターキャリア協会 事務局)  
 マーケターキャリア協会の活動内容

 ①ビジネスを動かすマーケティングの貢献度を可視化する。
・CEOの意識調査
・ビジネス貢献度調査
・上場企業、中小企業、ベンチャー企業 経営者会議

 ②プロフェッショナルとしてのマーケターのキャリア構築を支援する。
・マーケター従事者 意識調査
・メンターシッププログラム
・マーケティング事例 研究会

 ③ビジネスパーソンのマーケティング思考を育成する。
・MCA主催セミナー
・各種メディアでの執筆
・イベントでの講演
 

マーケターにとって、幸せな環境をつくっていきたい

 協会理事が登場するパネルディスカッションでは、マーケターキャリア協会がビジョンとして掲げる「マーケターの価値を明らかにする。」は、自身にとってどのような意味を持っているのか、それぞれの立場から考えが紹介された。
 
富永朋信氏(イトーヨーカ堂 執行役員)
 「マーケティングという言葉が指し示す内容は、各企業によって異なる。例えば、マーケティングが“調査”を意味している会社もある。本来は、もっと広い領域を扱うことを知ってもらう必要を感じている。マーケティングへの不理解がある中で、マーケターが企業に貢献していることを啓蒙していけたら素敵だなと考えている。マーケターは孤独。CMO以外の上層部にも価値を理解してもらい、マーケターが幸せになりやすい環境をつくっていきたい」
 
田中準也氏(インフォバーン 取締役 ソリューション部門 部門長)
 「これまでの私のキャリアでは新規事業を立ち上げて、ひとりでマーケティングしていくことが多かった。その中でマーケターとは何なのか、ずっと考えてきた。マーケターから役員になる人もいる。また、“マーケティングは、経営そのものである”と言っている人もいる。その価値が明らかになれば、マーケターが適正な対価を得られたり、仕事が円滑に進められたり、働きやすくなると思っていた」
 
鈴木健氏(ニューバランス ジャパン DTC&マーケティング ディレクター)
 「キャリアの協会でありながら、ビジョンとして『マーケターの価値を明らかにする』を掲げていることが刺激的だと思う。この“明らかにする”という意味合いは、価値そのものを伝えたり、社会的に評価してもらうことも含まれるため、英語にするとClarifyではなくIdentifyだと思う。つまり、マーケターとしてのアイデンティティを定義することになる。それに刺激を感じている
 
秋山勝氏(ベーシック 代表取締役)
 「マーケット全体が手法ドリブンになっていると感じる。SNSや運用型広告に詳しいなど、断片的に切り取っただけなのに、マーケターと称している人がいる。そうなると、マーケターの価値が下がってしまう。偉そうに聞こえるかもしれないが、マーケティングはもっと高度で難しい仕事、大きな意味では事業創造になる。協会を通じて経営層に訴えかけていきたい。その結果、マーケターになりたいと思う人が増える、という野望を持って取り組みたい」
 
相河利尚氏(元・クレディセゾン 戦略企画部長)
 「私は“普通の目線担当”です。協会設立に向けて10回ぐらい議論を重ねてきたが、最初の2、3回は理事たちが何を話しているのか理解できなくて自己嫌悪した。ただ、その中にいる時間に価値があった。その過程を若い人など、いろんな人にも見て気づいてもらえたら、何かが変わるのではないかと思う。私は協会の敷居を低くする努力をしたい」
 
小野進一氏 (ホールハート 代表取締役CEO)代表理事
 「マーケターの価値が明らかになればなるほど、そのキャリアがよくなっていく。いま米国では、会社で働くよりもフリーランスの人が多くなるという過渡期にある。日本では企業に所属している人が多いこともあり、マーケターが起業の準備では何が必要か、フリーランスでどう仕事をとっていくのか、など分からないことも多い。協会を通して、これまでにない選択肢をつくれると思っている」

 今後、マーケターキャリア協会はアンケート結果のWebサイト発表、メンターシッププログラムの詳細発表(メンター・メンティー募集)などを行っていく予定。

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