ジム・ステンゲル塾 #04

【特別寄稿 菅恭一】ブランドを支援する者こそ「高次の理念」を考えよう(ジム・ステンゲル塾に寄せて)

自社経営と、顧客支援を導く思考の枠組みを確かにする場


 まずは、自身が所属している組織、製品・サービス、もっというと個人の志を「人々の生活をよりよいものにする」という視点で再解釈してみる。これは経営者、マネージャー、現場に限らず有効な試みだと考える。ここでは、『GROW』の中で紹介されている「ブランド理念の木」というフレームが解りやすい。

 「ブランド理念の木」を構成する土台と幹、5本の枝に自身の考えを当てはめてみたときに相互に説明性があるか。ひょっとすると怪しい部分があるかもしれない。しかし、そこに説明性を持たせるために、自分たちの存在目的、規範、戦略、製品・サービスを有機的な繋がりのあるものに近づけていけば、理念をもって顧客企業と対話ができるようになるはずだ。そして、共感が生れることに喜びを感じるはずだ。この実感が勇気となり、ビジネスをドライブさせていく。

 また、実際のビジネスの現場では、顧客企業の担当者が目の前の課題に追われ、理念や目的を見失いそうになる瞬間もある。これは、職責やその時々のコンディションによって社内の当事者が陥る可能性のある、仕方のない事象でもある。そういったときに、理念や目的を共有する同士として、そこに立ち戻った問いかけをすることができるか。私の場合は、過去の支援経験や獲得した戦略論はもちろんだが、自身が理念によってビジネスをドライブさせた実体験、あるいは失敗した体験が引き出しとなり、リアリティをもって活かされることも多い。



 ステンゲル氏によれば、理念をより高次なものに研鑽を重ねていくと「人間にとって大切な5つの基本的価値」と、それによって「人々の生活をよりよいものにする」境地に辿り着く。それは、ブランドを扱う企業であれ、支援者であれ(正確には支援企業にもブランドがある)、仮に手段が異なる者同士であったとしても、活動の目的として共感を生み、領域を超えて相互に理解可能なものになるはずなのだ。

 時代が平成から令和に変わり、ブランド理念による企業と顧客の繋がりがますます重要になることは、世代のインサイトやビジネスモデルのトレンドを見ても明らかだ。新しい時代を生き抜くことは簡単ではないが、私自身の理解と経験を棚卸しし、改めて自社の経営と顧客支援を導く思考の枠組みを確かにする場として、ジム・ステンゲル塾の開講をとても楽しみにしている。
 
「ジム・ステンゲル塾(通訳付き)」

P&Gで2008年までの7年間、グローバルマーケティングオフィサーとして、全世界のマーケティングを指揮し、同社の売上を2倍に成長させたジム・ステンゲル氏によるマーケティング研修プログラム。詳細・申し込みは、こちら
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