ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #27
急成長の高級バッグ シェア&サブスクサービス「ラクサス」児玉社長が語る、ビジネスが成立する法則
2019/05/24
女性は複雑なものが嫌い、プランはシンプルに
田岡 冒頭の児玉さんのお話しの中に、サービスを成立させるためには、「物事をシンプルにするという法則」がありました。ラクサスは月額6800円のプランだけで、非常にわかりやすいです。
児玉 女性は複雑なサービスが嫌いな傾向が強いので、シンプルなことはとても大事だと思っています。例えば、携帯電話は、Aプラン・Bプラン・Cプランがあって、それに3ギガ・5ギガ・10ギガなど、すごく複雑ですよね。
先日、機種変更に携帯ショップに行ったら、隣の若い女性が「5ギガと7ギガって、どう違うんですか?」と尋ねていて、定員さんも若い女性で「7ギガは5ギガより大きいんです」と答えていて、絶対にわかっていないと思いました(笑)。
日本は、どうしてもプランを複雑にしがちなんです。当社でも、マネージャーから「市場調査をした結果、需要が多様化していることがわかり、複数のプランを用意する必要あります」と言われたことがあります。
それに対しては、「最適な解を一つ提案するのがマネージャーの仕事であって、それをユーザーに押し付けてはダメだ」と話しました。これは、意外と多くの会社が引っ掛かる罠かもしれません。
6800円という値段もバッグの仕入れ価格を考えるとチャレンジグでしたが、普及させることを優先して、携帯電話の月額料金に近い価格に設定しました。
田岡 お客さまは、分からないものは、買わないですからね。また、ラクサスはプランが一つであることで「粗利ミックスモデル(バッグの原価は異なるが、サービスの値段は同じモデル)」になっていますよね。
児玉 はい、どのようなバッグを借りようとも金額は一律です。あえて、「ユニットエコノミクス」(参考:商品1個当たりの利益ではなく、顧客1人あたりの利益を追うという考え方)にしたんです。新規で獲得した顧客一人から得られる利益を同じにすることで、ビジネス全体をシンプルにできます。非常に大事な考え方だと思います。
田岡 冒頭には「時間短縮の法則」が大事というお話もありました。ラクサスは、コンビニエンスストアなどで、バッグの受け取りや返却ができますよね。
児玉 そうですね。当初から、クレジットカードや住所の登録も手入力を必要とせず、運転免許証やクレジットカードを撮影して、データを送信するだけで済むようにしています。この導入は、Amazonよりも早かったですよ。