ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #27

急成長の高級バッグ シェア&サブスクサービス「ラクサス」児玉社長が語る、ビジネスが成立する法則

投資の仕組みも取り入れ、マーケットを拡大


田岡 高級な商品やサービスは、一度使って初めてその価値が分かります。ラクサスがその最初の体験を提供していることも、継続率の高さにつながっているように思います。

児玉 その通りです。それに、ラクサスがきっかけで、高級バッグを購入している人もいると思います。新聞などで、ラクサスを事例に「買うから借りる」という潮流が生まれていると書かれますが、正しくは共存なのです。

田岡 商品の良さが分かれば、保有したくなる人も出ますよね。



児玉 はい、僕はラクサスを通して「いいものは、高い」ということを伝えたいと思っています。日本人は安いものが大好きですが、安く売るために製造国を中国からベトナム、バングラデシュ、インドと変えていっても、いつかは限界が来ます。

 それは持続可能な社会ではありません。本当にいいものをみんなが使って、その良さを理解して、きちんとデザインに対価を支払って、モノをリスペクトする、そういった世界に変えていきたいのです。



田岡 それは、本当にわかります。最近、私もiPhoneをXRに変えたのですけど、顔認証機能「Face ID」はいらないと思っていたのに、使ってみたらとても便利でした。体験しないと価値が分からないものは、いっぱいあるなと実感したところです。

児玉 そうなんですよ。一度いいものを経験すると、もう戻れないですよね。

 あと、最近わかったのですが、赤いワンピースを売った人は、また赤いワンピースを買うんです。田岡さんも、気づいたら同じようなネクタイばかりになっていませんか。

田岡 すごく分かります。僕はストライプのネクタイばかりで、間違い探しみたいになっています(笑)。

児玉 そうなんです。人間は、たとえ貸したり売ったりしても、また同じようなものを揃える傾向にあります。バッグの貸し借りでは、この習性を捉えることも大事だと思います。

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