ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #28

起業資金7億円はどう貯めた? 紆余曲折で生まれた高級バッグシェア「ラクサス」

同級生への劣等感が、起業の原動力になった


田岡 児玉さんは、会社勤めの経験をお持ちですか。

児玉 それが、ないんですよ。僕は18歳で大学進学をきっかけに広島から上京して、その半年後に起業しています。

田岡 何がエネルギーとなって、起業したのですか。

児玉 劣等感ですね。僕は医者になりたかったので、高校1、2年生の頃にすごく勉強して志望大学からA判定をもらいました。でも、それで安心してしまって、高校3年生は思いきり遊んでしまったんです。

 当然、受験はうまくいきません。そこで学んだのは、一年で得たものは、一年でなくなるということ。ずっと勉強しなければいけない、と痛感しました。当時は、医者ブームだったので、クラスの半分くらいが医学部に進学して、それ以外は弁護士を目指して法学部でした。僕はそのどちらでもなかったので、すごく劣等感を味わったのです。



田岡 同級生を見返すために、起業してお金持ちになりたかったのですか。

児玉 そうです(笑)。それが1995年です。ちょうど「Windows95」が発売された頃で、これを使って何かビジネスをしたいと思って、うっかり大学も辞めてしまいました。

田岡 最初は、どのようなビジネスをされたのですか。

児玉 インターネットを使った家庭教師のマッチングでした。その次に、車の売り手と買い手のマッチングも手がけました。どちらもアイデアは悪くはなかったのですが、当時はそもそもインターネットを使っている人の数が少なくて、時代の先を行き過ぎていました。半歩や一歩先はいいけれど、二歩先はダメですよね。

 その後は、インターネットから少し離れて、広告会社を始めました。今で言うアフィリエイト会社です。後発だったため、他社よりも手数料を安くして乗り換えてもらい、反響が出たらインセンティブをもらうというビジネスモデルでした。

 自分で広告のコピーも書いていたのですが、成果を出すためにクライアント企業の社長の意向を無視して書き続けているうちに、先方から「それなら自分で通信販売をやったらどうでしょう」と言われて(笑)。それで、実際に英語教材の通信販売を始めてみたところ、大きく成功したという流れです。

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