ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #28
起業資金7億円はどう貯めた? 紆余曲折で生まれた高級バッグシェア「ラクサス」
2019/05/28
お金を手にしたら、起業への思いが変わった
田岡 起業当初は、同級生を見返したいと思っていたのに、現在の児玉さんは、世の中にインパクトを与えたい、と思っていらっしゃいますよね。どこで変わったのでしょうか。
児玉 早い段階で変わったと思います。最初は、儲かったお金で毎晩飲み歩いていましたが、何の意味があるんだろう、とすぐに気付いたんです。だからといって、マンションなど不動産投資に使うのも違うな、と思いました。
田岡 満ち足りたら、また違うことがしたくなったわけですね。現在の児玉さんは、社長としては、どのような役割を担っていますか。
児玉 まずは、リスクの限定です。挑戦するときに、いくらまでなら損失を出していいのかを判断しています。それから、デザインのチェックなど、細かいところも見ています。例えば、ユーザーが商品を受け取ってから返送するまで、ラクサスの段ボールが部屋に保管されることになります。ただ、その段ボールが茶色だと見栄えが良くないですよね。そこで部屋に置いておいても、違和感がないデザインにしているんですよ。
田岡 女性向けサービスならではですね。
児玉 ただ、私のようなおじさんが女性向けサービスをつくっているという矛盾があります。この先は、それでは通用しなくなると感じています。
田岡 では、サービスを支えられな、女性の経営者も育てているのですか。
児玉 もともと創業者の一人は女性ですが、もっと入れないといけないと思っています。
田岡 エンジニアの採用は、どうされているのですか。本社が広島にあると、大変ではないですか。
児玉 はい、エンジニアの採用は、苦労していますね。メインとなって働いてくれているエンジニアを軸に何とか回しているところです。
田岡氏 対談を終えて
児玉さんは、今のビジネスを立ち上げるまでに、広告や英会話のサブスクリプションビジネスなどの経験を持ち、それらを組み合わせることにより、現事業の立ち上げも上手くいっているように思われます。複数の深い経験の掛け合わせにより、新しい価値を生み出せているのだと思います。
参考記事:
3つのキャリアを掛け算して100万分の1の人材になる――藤原和博氏が語る人生100年時代の働き方
https://globis.jp/article/6567
また、シリアルアントレプレナーとして過去に苦労した経験からか、打ち手が世の中の道理や人の自然な感情、損得勘定に沿ったもので、無理がなく自然に自転していくものになっています。きっとこういった過去の経験を活かした大人のシリアルアントレプレナーが今後増えていくと思います。
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