ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #29

創業から12年増収増益で利益率30%、じげん平尾丈社長が語る「連続して成長できたビジネスモデル」

12期連続増収増益、どのように収益を拡大させてきたのか


田岡  具体的には、じげんはどのように収益を拡大してきたのですか。

平尾  当社は強みであるマッチングテクノロジーを軸に「送客力の強化」、「顧客(クライアント)基盤の拡大」、そして「領域拡張」といった成長戦略によって、プラットフォームの価値拡大を図っています。そして顧客基盤に関しては、自社による開拓だけではなく、M&Aや資本提携などを交えた非連続成長を目指しています。

具体的な売上収益のKPIですが、顧客基盤拡大では「顧客数」と「顧客基盤単価」、送客力強化では、「UU(ユニークユーザー)数」「CVR(コンバージョンレート)」「コンバージョンあたりの単価」となっています。これらの指標を上げていくことで、売上収益も上がるという仕組みです。

ユーザーが増えコンバージョンレートも高まると、メディアの価値が上がり、収益は増大していきます。初めは小さな事業でも、継続して成長できるというビジネスモデルがじげんの強みです。

 
インターネットメディア事業のKPI

田岡  自社の集客に自信がある企業は、じげんと組まないというケースもあるのですか。

平尾  もちろん、あると思います。特に景気が良ければ、テレビCMを打って想起をとることで流入数を増やすタイミングもあるでしょう。

田岡  僕は事前に、オーガニックの流入について「渋谷 アルバイト ファミレス」など、いくつかのキーワードで検索してみたのですが、じげんのメディアはあまり上位に表示されませんでした。どのように、オーガニックの流入を伸ばしているのですか。



平尾  少数のキーワードによる流入ではありません。検索されるワードは無数にあり、その組み合わせは膨大な数に上ります。

皆さんがどのように検索行動をしているのかと言うと、アルバイトであれば、最初は「渋谷 アルバイト ファミレス」と検索しても、その結果として表示された検索結果を見て「少し違うな」と思えば、検索サイトに戻って、また別のキーワードを入れたり加えたりして検索します。これを繰り返していくわけです。

田岡  徐々に、一度に検索入力するキーワード数が増えていきますね。

平尾  そうです。じげんのサイトは、その検索行動の中でどこかに出てくるため、その段階で知ってもらいます。そして例えば、求人サイトであれば、「複数サイトを一括で比較検討応募できる」「UIも使いやすい」と評価してくれたユーザーを拾っていく流れです。

求人、中古車、住宅など、どの市場もレッドオーシャンですが、マーケットが巨大なところに我々のテクノロジーとストラテジーで参入していこうという方針です。
 
田岡  仕事の検索で言うと、IndeedやGoogleも行なっていますが、それらの存在はどのように捉えていますか。

平尾  それは、それでいいと思っています。人材市場の面白いところですが、indeedも基本的にはリクルート系列ですし、その構造は長年変化していないのです。ユーザーから課金ができない以上は企業から受注するBtoBビジネスであって、その市場サイズは採用人数と連動しており、住み分け合っていると捉えています。

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