ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #33

「北欧、暮らしの道具店」の採用基準は、自分と世界に期待ができている人かどうか

クリエイティブ力をどう引き上げているのか


田岡 ブランドの約束の範囲というのは、できるだけ広げるようにするのですか。

青木 ずっと同じところでやっていると飽きられてしまうので、広げることは必要だと思います。でも、実は狭いと思っている中にも、やりようはいろいろあるんですよね。

田岡 では、入社したばかりで、まだそういった感覚が分からない人の企画はボツになることが多いのですか。



青木 そうだと思います。通る企画が安定して立てられるようになるには、3年はかかるのではないでしょうか。最近は、クリエイティブに求めるレベルが昔と比べると数倍は引き上がっているため、さらに時間がかかるようになってきました。

田岡 クリエイティブのレベルは、どのように引き上げているのですか。

青木 漸進的な引き上がりと、非連続的な引き上がりがあります。非連続的な引き上がりは、経営主導で行います。この方向にこのまま進むと飽和するという勘が働いて、経営が現場に降りて、半年ほどかけて新しいフォーマットに更新するんです。

田岡 最近では、どのようなフォーマット更新が行われたのですか。

青木 まだ進行中なのですが、動画のフォーマットをつくっています。昔から動画はやっていましたが、胸を張って出せるフォーマットをつくるために経営と現場が一つの委員会を発足して、プロトタイプをつくる取り組みをしています。

写真についても同様のスタイルをとってきました。もともとすべて内製していましたが、現在はアパレルに関してはカメラマンやスタイリストといった外部の専門スキルを持つ人たちを含む体制に変化しています。



田岡 同じ社員が動画や写真の両方をできるようになるといった進化でしょうか。それとも適性を見て分業しているのですか。

青木 今は、ほぼ全員にフルスタックを求めている状態です。とはいえ、動画まではさすがに難しいかもしれないということで、動画の編集部を新設しました。現在、その部署にいるメンバーは全員フルスタックですが、今後は動画のみのスキルを持った人が増えていくのかもしれませんね。

※第4回 「北欧、暮らしの道具店」が新規事業を社内ではなく社外スタッフと始める、深い理由 に続く
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「北欧、暮らしの道具店」が新規事業を社内ではなく、社外スタッフと始める深い理由
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