ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #36

「君は何者にもなれないよ」とあおることも。起業には100%の思い込みが大事

前回の記事:
金なし、物なし、人なし、健康なしの独立。トランスコスモスCMO佐藤俊介のハードな起業ものがたり
 インターネット広告会社のエスワンオー、ファッションブランドのサティスファクションギャランティード、ソーシャルメディアの解析ツールを提供するソーシャルギアなど、さまざまな企業を設立してきたトランスコスモス 取締役 上席常務執行役員兼CMOの佐藤俊介氏。第1回に続いて佐藤氏に、成功する起業のポイントについて聞いた。
 

起業のアイデアは、すべて実体験をもとにしている


田岡 エスワンオー、サティスファクションギャランティード、ソーシャルギアと起業して、さらにトランスコスモスに入ってからも、俳優の山田孝之さんとミーアンドスターズという会社を設立しています。起業のアイデアは、どこから出てくるのですか。

佐藤 ポンポンと出てきます。今も思いついたら、すぐに行動しているという感じです。

田岡 その秘訣は、何なのですか。

佐藤 僕は例えば、コトラーなどマーケティング本を一冊も読んだことがないんです。常に実体験がベースにあることが強みなのかもしれません。本から情報を得られれば、思考の厚みは増すかもしれませんが、アイデアの核だけは自分が体験しなければ得られないと思っています。
佐藤 俊介氏
トランスコスモス
取締役 上席常務執行役員兼CMO

2001年、日本大学理工学部建築学科卒業。2006年にエスワンオーを創業。2010年よりファッションブランドsatisfaction guaranteed設立のためシンガポールに事業拠点を移した。2011年、エスワンオーインタラクティブをオプトホールディングに売却。2016年、ソーシャルギアをトランスコスモスに売却し、取締役CMOに就任。2017年に俳優の山田孝之と一緒にミーアンドスターズを設立、代表取締役社長兼CEOに就任。

田岡 では、ユーザーとして、いろんな体験をするように意識しているのですか。

佐藤 そうです。新しいものがでれば、すぐに試してみるし、仕事に関わらずどんな小さなことでも考察する癖があります。

田岡 例えば、この店舗が人気な理由は何かを考えたり、これとあれが人気なのは同じ理由なのか分析したり、とか。
田岡敬氏
エトヴォス 取締役 COO(最高執行責任者)

リクルート、ポケモン 法務部長(Pokemon USA, Inc. SVP)、マッキンゼー、ナチュラルローソン 執行役員、IMJ 常務執行役員、JIMOS(化粧品通販会社)代表取締役社長を経て、ニトリホールディングス 上席執行役員。2019年1月21日より、エトヴォス 取締役 COO。

佐藤 そうですね。ただ、すべてが仕事ネタでもなくて人生感などの考察もあります。あと考えるだけでメモはしません。僕は文字が嫌いなので、長い文章も読めないですし、書くのも苦手なんです。そもそもメモしないと忘れるようなことは、大したことがないと思っていて。だから、忘れずに何度も繰り返して考えたことが核になると思っています。

それと、事業化するルールとして、自分の中で100%成功すると思えなければ、取り組まないようにしています。これが99%だと、どこかで自分に嘘をつくことになり、人に伝わらないものになるんです。100%だと、周囲の人も感化されて付いてきてくれる。佐藤の言っていること、もしかしたらイケるかも、と。

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