ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #36
「君は何者にもなれないよ」とあおることも。起業には100%の思い込みが大事
起業に当たって、データをまったく見ない理由
田岡 新規事業は、商品開発と同じように1000あっても3しか成功しないと言われるほど当たる確率は低いですよね。100%成功を信じるというルールは、厳しくないですか。
佐藤 当たる確率が低いからこそ、せめて始める人が100%信じていなければいけないと思っています。誰も成功すると信じていないのに、実行する責任者もそうだったら、それこそ絶対に成功しないですよね。100%まで自分を思い込ませるのも大変なので、「思い込む」という能力も必要なのかもしれません。
田岡 それは、ただ思い込むだけじゃなくて、実際にシミュレーションしてみたり、あらゆる角度から検証してみたり、自分を納得させるということですか。
佐藤 そうです。ただ、私の場合、データを見ないことにしています。データを見ると確信が99%や98%に下がってしまうからです。僕は、あくまでも想いや熱量だけ100%にして、データは別の人が後で見ればいいと思っています。
田岡 パートナーを巻き込むときもファクトの裏付けはないのですか。
佐藤 ないですね。ただ想いは100%なので、自信はめちゃくちゃあるんです。そもそも新しいことですから裏付けなんて本当はあるはず無いんですよ。根拠の無い自信がすべて(笑)。その想いに共感して、俳優の山田孝之くんも参加してくれたんです。
田岡 いくつも会社を設立して、その先にはどのような世界を考えているのですか。
佐藤 明確に描いている世界は、ありません。僕は中長期目標を立てないんです。一般的には、そこから逆算していくと思うのですが、それは100を1000にしたり、1000を10000にする人がやるべきことですよね。僕はゼロイチしかしないので、3カ月や半年先のイメージはなくて、一歩一歩という感じです。
田岡 ではゼロイチを達成したら、次に行くのですか。
佐藤 そうです。自分の役割はそこまでで、それ以上は自分の能力の外にあると割り切るようになりました。