ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #37

BtoB企業におけるCMOの役割は、インナーコミュニケーションにある【トランスコスモス 佐藤俊介】

佐藤氏が考える、大企業のメリットとデメリット


田岡 佐藤さんの目から見て、大企業の良いところはどのようなところですか。

佐藤 良いところは、品質に対する責任感が非常に強いところです。ベンチャーはマーケットを広げたいという気持ちが強いため、品質に関しては少々粗いところは目をつむってしまう傾向がありますよね。大企業にとっては品質が信頼に直結します。

その特性を生かして、僕が今取り組んでいるのは、トランスコスモスの社員を社外のベンチャー企業に出向させています。ベンチャースピリットと品質を両立させたハイブリッド経営をトランスコスモスで実現していきたいと思っています。

田岡 逆に、大企業の改善すべき点はありますか。

佐藤 一番良くないと思うのは、正直者が損してしまうということです。会社にとって良いことをしても出世するわけでもないですし、手柄の取り合いなどがどうしても起きてしまうケースはあると思います。

ベンチャー企業は自分たちのプロダクトのマーケットを広げたいという一心で外だけを見ていますが、大企業は敵が外にいないことも多く、どうしてもエネルギーが内に向きがちになると思います。



田岡 改善策は、打ち始めているのですか。

佐藤 これは、もう文化を変えるしかないと思っています。ただ、文化は時間とともに成り立つものです。だからこそ、自分が成功事例をつくって、古い文化と交わせていかなければいけないと考えています。

田岡 なるほど。ベンチャー企業という出島をつくって出向させて、また戻してということを繰り返して、人を混ぜて文化を変えていくわけですね。

佐藤 はい。会社の核となる重要な文化は保ちながらですが、ハイブリッドな人材を育てていくことが必要だと考えています。

田岡氏 対談を終えて
 「100%成功すると思わないと新規事業をやらない」、「データを見るとそれが99%や98%になるから見ない」というのは衝撃です。新規事業は不確かなもので、確度を上げるためにデータを見たりリサーチをする、というのと真逆です。

 ご自身でも「0→1が得意」、「3ヶ月や半年先さえイメージしてない」とおっしゃってますが、「10にするには」や「100になるのか」と考えたり調べたりして時間とコストを使うくらいなら、とにかく「1を目指して、1が形になったら次にどこを目指すのか」を考える、「他の人にやってもらった方がいいならやってもらう」という考え方なんだと思いました。

 「0→1」が得意な方の考え方とはこういうものなんだ、と非常に勉強になりました。


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