ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #02

売上対前年比160%、Twitter日本法人の急成長を支える笹本氏の仕事術【聞き手:ニトリ田岡氏 後編】

社長として心がけていること、変化したスタイル

田岡:これまで社長を数社で務められていますが、社長業への思い入れがあるのでしょうか。

笹本:あります。これは幼少期の影響なのですが、小学生の頃に住んでいたオーストラリアでは、子どものお小遣いは与えられるものではなく、自ら稼ぐものなんですよ。小学生なりに商売の面白さを感じて、いずれは経営者になりたいという思いを抱いていました。



田岡:おもしろいですね。社長として心がけていることはありますか。

笹本:世の中を俯瞰して物事を予見し、できるだけそれに対処できるよう周りを動かしていくことです。もし対処が間に合わない場合は、自分で動くことを意識しています。

田岡:長い間、社長を務めてきた中で、スタイルが変わってきたなと感じる部分はありますか。

笹本:感情がコントロールできるようになりましたね。



田岡:それは、私も多少はできるようになってきたと思います(笑)。怒っても、いいことは何もないんですよね。

笹本:そうなんです。人を動かすには、怒りではなく、動きやすい環境をつくることが大切です。

田岡:最後に、今後の展望についてお聞かせください。

笹本:個人的には、65歳で定年すると仮定して、それまでの11年をどう過ごすのかを考えています。若い頃と違って、年齢とともに可能性は狭まっていくはずなので、やるべきことを定めて過ごしていきたいと考えています。

田岡:私も同じです。もうじき50歳になるにあたり、成り行きに任せてキャリアを選んではいけないと、生まれて初めて考えています(笑)。

笹本:50歳でそう感じられたのは、すばらしいですよ。私は55歳までの後1年で何かしようと、少し焦りながら考えているところです。

 まずは、2020年東京オリンピックに向けて、Twitterで実現できることが多くあると考えています。インバウンドはもちろんですが、日本企業がグローバルに展開していくアウトバウンドのお手伝いもしていきたいですね。

<田岡敬氏 対談を終えて>

 「火中の栗を拾う」といコメントがありましたが、改めてリスクとリターンはトレードオフであると感じました。大胆に変革ができるのはそれだけ危機的状況ということであり、その状況を引き受けるのにはリスクが伴います。

 華やかに見えるMTVやTwitterのようなメディアビジネスにも大変なドラマがあります。また、「不確かな未来への変革を定量的に100%説明することはできず、最後は信頼してもらう人間関係が重要」というのは最近色々な方と話をしていても常に出てくるテーマであり、急速に変化し続けるビジネス環境に対応するための重要なポイントであると思います。
 
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