ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #39

FABRIC TOKYOの成長と失敗。オーダメイドスーツのD2Cは、なぜ成功したのか

売上減少、離職率上昇をどう乗り越えたのか


田岡 他の記事を拝見すると森さんは、社内の風土を整えようといろいろな活動をされているように思いますが、実際にそういったことを強く意識されているのでしょうか。

森 はい、僕はD2Cビジネスの最大のボトルネックは、組織にあると思っています。なぜなら、ものづくりをする、サプライチェーンを伸ばす、ITのサービスをつくる、店舗を運営するなど、普段は一緒に働かない人たちの集合体だからです。

特に当社の場合、自前主義を掲げているため、すべての機能を自社で持っています。バリューチェーンが長いので、これらを絶妙にミックスすることが必要なんです。

例えば、お客さまのユーザー体験の改善にエンジニアとサプライチェーンのマネージャーと店舗で働くスタッフが一緒にミーティングするといったことが日常茶飯事に起きています。そのチームビルディングが何よりも大事だし、それができれば競争優位性が高まります。



田岡 過去に組織がうまく回らなくなったことがあったのですか。

森 はい、実は2016年頃に組織崩壊を起こして、離職率が高い時期もありました。売上が下がり、社員も減ってしまって。当時の社内は荒れていて、お互いを批判し合うことが多くて、モチベーションクラウドを導入したら最低でも50はある偏差値が34とかでした…。

田岡 意外ですね。ずっと売上が順調に伸びてきたという印象でした。なぜ売上が下がったのでしょうか。

森 WebサイトのUXや広告に一貫性がなく、さらに顧客体験が悪くなる一方でリピート率が下がって商品のクレームも増えていました。

田岡 そこからどう改善されたんですか。

森 まずは、私自身の立ち振る舞いを変えました。今は経営者という意識に変わっていますが、当時は自分がプロダクトオーナーという意識が強かったと思います。私は事業の立ち上げは得意かもしれませんが、プロダクトを洗練させることは得意でなかったと思います。そこを得意な人に任せてみようという気持ちに変わりました。

田岡 プロダクトデザインする人が見つかったんですか。

森 そうですね、2016年4月に現在のCTOである中筋丈人に入社してもらって任せるようになりました。また、ブランディングは、現在のクリエイティブ統括である峯村昇吾にお願いしました。私が担当するとチームメンバーとケンカしてしまうので、私は自分が目指している方向性だけを示すようになりました。

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