ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #40

「このままでは米国のD2Cユニコーンに日本市場が奪われてしまう」FABRIC TOKYO 森雄一郎

丸井との資本提携、今後の新展開について


田岡 FABRIC TOKYOは今年5月に丸井グループとの提携を発表されました。これからどのような取り組みをされていく予定ですか。



森 
現在のところ、決まっていることは2つあります。ひとつは丸井が展開しているエリアでの出店に協力してもらうこと。

もうひとつは、「デジタルネイティブストア」を一緒につくる予定です。丸井は、近年のコト消費の傾向から、店舗はあくまでも顧客体験の中のタッチポイントのひとつであるという意識を強く持っています。

その他、丸井が運営しているエポスカードをFABRIC TOKYOのECサイトで使用すると、丸井の店舗と同様のポイントが付与されるといった施策を展開していきます。こうした取り組みは、資本提携したからこそできることです。
 
FABRIC TOKYO 新宿丸井店

田岡 
FABRIC TOKYOとして新事業展開も視野に入れていらっしゃいますか。

森 そうですね。新サービスを展開していく予定です。D2Cビジネスが伸びている背景にはインターネットという側面と、サービスという側面があると思っています。

「RaaS(Retail as a Service)」という言葉もありますが、リテールは今後急速にサービス化していくと思います。つまり、従来のリテールのゴールは商品の販売でしたが、今後は販売がスタートになる時代がくるのです。FABRIC TOKYOもそうした考え方で新事業を進めていきたいと思っています。

参考:FABRIC TOKYOで初の記者会見を実施し、複数の重大な発表を行いました。

田岡 
最初からリピートが前提になるプロダクトということでしょうか。



森 その通りです。サスティナブルなブランドにしていく上でも、顧客がどんどんファンになってロイヤルカスタマー化していくサービスを目指すべきだと思っています。

極端な話、FABRIC TOKYO のビジネスは30年後や50年後であっても、お客さまで居続けていただける可能性があるビジネスだと思っています。なぜなら20歳の人が一度利用して気にいってくれたら、70歳まで使ってもらえる未来もあるわけじゃないですか。そこまで考えた上でサービスを設計していきたいと思っています。

田岡 
今後の展開を楽しみにしています。
 

田岡敬氏 対談を終えて


 森さんは、自ら動く突破力があり、プロダクトマネージャーから経営者への役割変化も自ら行い、製造小売業にとって重要な風土とコミュニュケーション改革にも取り組まれ、大手企業とのアライアンスにより時間も買い、海外の最新情報を自ら取り入れ海外進出も視野に入れ、D2C業界の啓蒙も行う、と隙がなさ過ぎの33歳経営者です(笑)。

 ベンチャー経営者が成功するために必要なスキルや経験が形式知化されてきたために、森さんのような経営者が現れてきたんだと思います。旧世代は、自分よりはるかに若いのに成熟している経営者と競合や協業してビジネスを行っていくという認識が重要になると思います。

■FABRIC TOKYO 森雄一郎氏に関する参考記事
他の連載記事:
ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 の記事一覧
  • 前のページ
  • 1
  • 2

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録