ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #41

ストックオプションも提供。「外注・プロ化」が進むブランドマーケティングの現在

成果報酬、ストックオプション…広がる報酬形態


田岡 ブランドコンサルティングの報酬体系は、固定的なフィーだけではなく、成功報酬やストックオプションの付与など、様々なパターンが増えてきていると聞きます。これからのブランドコンサルタントとクライアントの関係は、どのように変化していくのでしょうか。

山口 報酬体系や関係性の変化の理由は2つあります。ひとつ目は、非常に下世話な言い方になってしまうのですが、本当にビジネスのPLにインパクトのある成果を出せるマーケターの絶対数が少ないので、企業側の需要が高まった結果、需給のバランスが崩れたことです。成果インセンティブを付与しないと、本当にハイレベルなマーケティング人材を確保しにくくなっているのです。

ふたつ目の理由は、成果報酬インセンティブをつけることに抵抗がないベンチャー企業やファンドの投資先企業が増えたことです。ちなみに当社のコンサルティングのビジネスモデルに成果報酬インセンティブが付加されることが増えた経緯を説明しますと、稼働が続く限りは高単価なフィーをいただくため、クライアント企業としては「戦略策定後の実行部分でも、薄く長く関わってほしい」という希望はあっても費用面で折り合いがつかないケースが多々ありました。



そこで、ストックオプションや成果が出たときにインセンティブをもらう仕組みによって、長期的な支援の継続が可能になり、それによって実際に業績向上の成功率も高まりました。ただ、そうした形態が従来比では増えているといっても、当社でも業界でも決して主流と言える比率ではありません。クライアント側もそれだけのインセンティブを与える相手は、相当シビアに選んでいると思います。

実のところ、当社のクライアントで、そのような報酬形態をとっていただける企業の大半は、プライベートエクイティファンドから紹介される案件と、上場前後のタイミングのベンチャー企業の案件です。それらの企業の目的は企業価値を短期で大きく高めることにあるため、本当に価値が高まるのであれば、分け前をあげることは厭わないと考えているんです。

すでに上場後で歴史ある大企業は、豊富なキャッシュがあり、コンサルティング会社にはフィーとして支払いきってしまう契約習慣が根付いています。また、インセンティブ付与になると既存株主への説明コストも高いため、オーナー経営者以外で発生するのはレアケースです。

田岡 ファンドであれば、早急に価値向上を求めるために意思決定も早そうです。

山口 その通りです。最初から株主や経営陣がリスクテイクして投資するメンタリティのため、非常にやりやすいと感じています。また、ファンドの方たちの思考も左脳的なため、戦略と結果を数字でロジカルに説明する当社のスタイルとも合っています。

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