ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #41

ストックオプションも提供。「外注・プロ化」が進むブランドマーケティングの現在

ひとつの領域の追求より、幅広い領域の知識が必要な時代?

 
8月だったこともあり、Minimalの「チョコレートかき氷」をたべながら対談は行われた。

田岡 昨年10月に著書『マーケティングの仕事と年収のリアル』を出版されて、様々な反響やフィードバックがあったと思うのですが、どのような気付きがありましたか。

山口 読者の反応から感じたのは、「成果が出ないことや閉塞感の要因は、自分の知識やスキル不足だと盲信していたことに気づいた」ということですね。自分を成長させる方向は、「70点まで伸ばした専門知識を100点にする」、「横の部署やほかの業務など自分の専門領域以外の知識を増やす」、「マネジメント能力を伸ばす」という3つの選択肢があります。

多くの人が無意識で選びがちなのは、「現在の専門知識で100点を目指す」ですが、「1つが100点であとは0点」よりも「自分の専門領域で70点だけど、他の領域は40点や50点」のように幅広い知識を持っているほうが、実際の事業の現場では成果が出やすいと考えています。マーケティングは、常に全体最適判断が求められるので、視野の広さを確保するための、薄くても広い知識は重要です。

田岡 私もそう思います。100人中1人と言えるスキルや経験が3つあれば、掛け算すると出現率100万分の1の貴重な人材になれると聞いたことがあります。教育者として著名な元・リクルートの藤原和博さんも著書『10年後、君に仕事はあるのか?』の中で提唱されています。

山口 
それと一緒です。それに、売上と収益という結果にコミットするスタンスがあれば、結果は自然と付いてくると思います。自分に知識がないなかで、すぐに成果を出さなければいけないなら、知識を持っている人から借りればいいんです。

また、自分の上司のニーズが分かっていることも非常に大事です。大半の上司は、個別最適のKPI達成ではなく売上・収益という全体最適の成果を求めています。SNSのアカウント数という個別最適のKPIがあったとき、広告でSNSフォロワーを買っても、売上につながっていなければ本質的な成果とは言えません。成果に向けて、限られた時間やお金を何に使うべきか。これを常に自問自答し、上司とすり合わせをしていれば、業務の取り組み方も評価も変わると思います。
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