ドラクエ的マーケターキャリア調合術 ― スキルセット×マインドセット、それとちょっぴりの「運」 #01
「納得できる」マーケターのキャリア形成は、ロールプレイングゲームに似ている
キャリア形成のための「旅の地図」
プロフェッショナルなマーケターを目指す方への「旅の地図」として、まずはどのような職種があるのかを一緒に確認してみましょう。自分が何に興味を持っていて、そのスキルを身につけるにはどんな手段が必要なのかを見つける手助けになるかもしれません。「図表1」は筆者の経験を基にまとめた、マーケター職種ガイド抜粋版です。
マーケティングに従事する人は、まずマーケティングマネジメント(理論や戦略)寄りか、マーケティングオペレーション(実施や制作)寄りか、に強みや分野が分かれます。イベントやキャンペーンを通じて経験を積み、将来的にCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)などに就く方もいれば、制作や実施の分野に特化して専門代理店を起業したりする方もいるでしょう。
また、もう一方の方向性として「職種」と「業種」という視点もあります。マーケティングプランナーとしてキャリアを始め、広告代理店という「業種」でずっとキャリア形成される方もいれば、私のように「メーカー」から「代理店」へ移り、そしてまた「事業会社(複数)」に戻ったりと「業種」を替えるケースもあります。
また、プランナーを経験後、デジタルマーケティング分野のエキスパートとして経験を積み、さらにメディアプランナーなども経験……のように、マーケターとしての「職種」を積み重ねていくケースなどさまざまです。
何に「なりたい」かより、何を「やりたい」か
先のガイドを利用する際、また、このキャリア形成の旅において常に持っておくべき視点がひとつあります。それは、「こんな仕事をしてみたい」、「こんな経験を積みたい」または「何に貢献したい」という“コンテンツ(仕事の中身と価値)”に目を向けることです。旅の地図は、あくまで外の世界を少し覗いてみるためのものであり、マーケターといっても幅広い職種があることを知ってもらうために参考までにまとめたものです。「CMOになりたい」(自身がこのようなことを最近志向していることを自戒しつつ……)など、何かに「なる」のはスキルセットを身につけることには必ずしも直結しません。ポジションはあくまで手段(または結果)でしかなく、手段が目的化してしまうと、それは「タイトル」の取得に終始してしまうことになりかねないからです。
少々ナイーブな言い方をさせていただけるのであれば、キャリア形成やタイトルというのは、常に自分が他者(や会社)に対して何かを成し遂げたり貢献したうえで、後から経験や知見として付いてくるものです。
「何かになりたい」という目標を否定するものではありませんが、デジタルマーケティングテクノロジーの劇的な進化や、さまざまな激しい業態変容が起こる旅の過程においては、この目標がさまざまな分野にぶれたり変わったりすることは日常茶飯事です。
そのような変化に自らも柔軟に対応できるよう、仕事の中身にこそ視点を集中させることは、キャリア形成の中で自分の立ち位置を見失わないための、大事な羅針盤になるに違いありません。
今後、このコラムでは読者の皆さんのご意見やフィードバックをとても大事にしたいと考えています。読んでいただいて感じたことやさまざまな悩みやご意見など、ぜひ多数お寄せいただければ幸いです。
連載の途中でそれを題材にして展開したりなどもできればと思っていますので、色々ディスカッションしていきましょう。
【質問募集中!】遠藤さんへのキャリア相談や、 コラムへのご意見・ご感想、今後取り上げてほしい話題などを募集中!こちらから。
(脚注)
“ドラクエ” ©ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
- 1
- 2