ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #44

DMMがサッカークラブ「シント=トロイデン」買収した理由 村中悠介会長インタビュー

前回の記事:
40事業以上を管理・掌握、知られざるDMM.com COO 村中悠介の役割と仕事術
新規事業の立ち上げやM&Aを積極的に行い規模を拡大、現在40以上の事業を展開しているDMM.com。2017年には、ベルギー1部サッカークラブ「シント=トロイデンVV」を買収して、世間から注目を浴びた。その狙いについて、同クラブの会長を務めるDMM.com の最高執行責任者(COO)である村中悠介氏に迫った。

サッカークラブの買収を通して示したかった意義


田岡 2017年にはベルギーのサッカークラブ「STVV(シント=トロイデンVV)」を買収し、村中さんご自身はクラブの会長に就任されました。DMMが海外でスポーツビジネスに乗り出したのは、どのような背景があったのでしょうか。

村中 
日本経済が成熟し、飽和してきているなかで、海外に打って出るのはひとつのキー。それはDMMも例外ではなく、国内市場だけ見てビジネスしても今後は、難しくなるという危機感を持っていました。

必ずしもスポーツ産業でなくても良かったのですが、若者が若くして海外に出ていったり、そこでの経験を日本に持ち帰ることが良いことなんだ、というメッセージを伝えたいと考えているんです。今回の場合だと、僕らが海外にクラブを持つことで、日本人選手やトレーナー、ほかの関係者も海外に出る機会を得られますよね。
村中悠介氏
DMM.com COO(最高執行責任者)兼 DMM GAMES CEO   
1979年北海道苫小牧生まれ。2002年DMM.comに入社。2011年に取締役就任後アミューズメント事業、アニメーション事業など多岐にわたる事業を立ち上げる。2017年11月サッカーベルギー1部リーグ シントトロイデンの経営権取得。2018年6月 COOに就任。40以上ある事業を統括。2019年5月よりDMM GAMES CEOを兼任。

田岡 その過程を紹介してくことは、まるでドキュメンタリーですね。

村中 
はい、まさにそうなんですよ。僕たちが連れていくのは、若い選手が多い。現地の言葉もしゃべれない国に行くのは、すごい勇気のいることじゃないですか。それまで日本人としか生活したことがないのに、いきなり外国人とサッカーをするなんて普通は嫌でしょう。その凄さが世間にうまく伝わっていないと思うんです。

スポーツ選手だからすごいのではなく、自分で一歩を踏み出せたから何とかできた、ステップアップできた、そういう風に思えるようになってほしいんです。

これはある意味、社員に向けたメッセージにもなっていると思います。とは言え、意義だけではなく、事業として取り組んでいるんですけどね。

田岡 ベルギーの街全体を盛り上げようとしている、と紹介された記事を拝見しました。
田岡敬氏
エトヴォス 取締役 COO
リクルート、ポケモン 法務部長(Pokemon USA, Inc. SVP)、マッキンゼー、ナチュラルローソン 執行役員、IMJ 常務執行役員、JIMOS(化粧品通販会社)代表取締役社長を経て、ニトリホールディングス 上席執行役員。2019年1月21日より、エトヴォス 取締役 COO。

村中 
そうですね。ベルギーは、サッカーが生活の一部のような街です。人種に限らずプレーで良いところを見せられなければ、「使えない選手を連れてくるなよ」と批判されてしまいます。逆に結果を出すとすごいんですよ。

STVVの歴史を振り返っても、決して強豪チームとは言えませんし、街の人たちは自分たちのチームが強いとは思っていなかったので、僕たちが最初に「6位以内を目指します(ベルギーリーグでは、6位以内のチームでチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグへの出場権をかけてプレーオフ1を戦う)」と宣言したら、「いやいや無理だから」という雰囲気になって。

ただ、去年は最終戦で負けて6位から7位になったら、突然「お前ら、現状で満足しちゃだめだぞ」と言い出し始めて(笑)。

結果を出すと、そのくらい意識が変わるんです。大変なこともありますが、当初の計画を上振れで事業は推移しています。

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