ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #46

発売1年で異例の460万個「オルビスユー」。ヒット連発 小林琢磨社長が描く戦略

飲むスキンケア「ディフェンセラ」も95万個の見通し


小林 もうひとつ、新しいオルビスの象徴として飲むスキンケア「ORBIS DEFENCERA(ディフェンセラ)」を発売しました。これはトクホ(特定保健用食品)に認められています。「飲むスキンケア」と言うだけは簡単ですが、何をもって言えるのかという時に「消費者庁が認めた」というのが一番伝わりやすいですから。

田岡 
サイエンスの保証ですね。これこそ「内なる力を育む」ということですよね。

小林 
はい、お陰さまでテレビCMの公開を待たずして、予定数量を大幅に超過し欠品となりました。発売1年の出荷個数が90万個に達する見通しです。現在は「オルビスユー」と「ディフェンセラ」にマーケティング投資を集中させてリブランディングを図っています。

田岡 
ビジネスがシンプルでいいですよね。様々なカテゴリーの入口商品があると、その後にLTVを上げていくための施策が複雑になっていきます。



小林 
そうですね。新規の顧客獲得が非常に好調で「オルビスユー」や「ディフェンセラ」は、歴史上ダントツの売上になっています。ただ一方で、下着やサプリメントなど売上を落とす商材も出てきました。それに加え、2014年には主力の通販売上高の24%を超えるポイント値引きを実施している、いわゆる「売上をつくるためだけのキャンペーン漬けの状態」に陥っていたものを、この2年で大幅に見直しています。そういった変化の中でオルビス歴20年という方から「かつてのオルビスが好きだった」というお叱りを受けたこともあります。

田岡 
そういう声も出てきますよね。

小林 
現在は好調な「オルビスユー」や「ディフェンセラ」の分と、値引きで繋がっていたお客さまの下落した稼働など失った分でトントンの状態です。ただ、変革のスタートは売上のトップラインを追うよりも、社内の構造を強化して質に転換していく方が大事だと思っています。就任した2018年の決算は、利益率が上がったことで減収増益になっていますね。


※後編  表向きは「そうですね」裏では「やらなくていい」に直面。オルビス小林琢磨社長は、どう組織改革を断行したのか  に続く
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