米国・空軍ROTCから電通に行き着いた、クリエイターのキャリア論 #01

「キャリアは計画された偶然」米国・空軍ROTC生が電通でクリエーターになるまで

軍事から民間へ「次世代の成長産業を探し求めて」


 私がアメリカ空軍ROTCで訓練を受けていた2009年は、今ほどSNSやIoTが普及していなかったが、IT(サイバースペース)が陸、海、空、宇宙に次ぐ第5の戦場になることは早々に言われていた。

 であれば、民間にデジタルの波が来ることはそれなりに推測でき、私は職業軍人の道ではなく、ビジネスの領域に身を置こうと思った。

 ただ、デジタルの波が来ると想像できても何がどうなるのか。ましてや広告業界が今のようにデジタル化され、メディアの概念がこれほどまで変わるとは当然ながら分からなかった。

 当時は、「PPM分析」も行った。アプリケーション層のIT産業は、成長への期待はあるものの、全体のシェアがまだ無かったため、「金のなる木」でも「スター事業」でも無く、ただの「未知なる領域」でしかなかった。



 そう考えたとき、将来の情勢に臨機応変に対応できるIT領域に身を置いて、状況を観察しながらキャリアを積めば良いのではないかと思い、まずは大手通信事業の会社に就職することにした。

 その理由は、IT領域自体がインフラ基盤(ネット回線、光ファイバーなど)、システム(サーバー、iOSなど)、アプリ(一般的なアプリケーション層、プラットフォームなど)と、ざっくり分けると3つになっており、インフラ基盤を事業にしている通信事業ならば、市成長性は見込めないが、市場での占有率は十分にあるため、アプリやシステムが成長した段階で転職をすれば、異業種でも通用すると考えたからだ。

 なぜ日本企業だったかと言うと、日本企業にはまったく業務経験のない学生を採用する「新卒一括採用」というシステムがあるからだ(プロフェッショナル人材育成の観点から言えば、通年採用の方がいろいろメリットはあるが)。

 そんな風に、学生から社会人になるときにも、戦略的にキャリア形成について考えたのだった。

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