「元書店員マーケター」オススメの一冊 #09
デジタルマーケティングの教科書として、推薦したい2冊
考え方だけでなく組織横断的な経営視点まで獲得
読者は具体的な業務シーンを思い浮かべながら、自らの業務もその中に繋がっていくことを実感するはずだ。これは、西井さんの体験に裏打ちされた内容だからこそ、そう感じられるのだ。
だからといってゴリゴリの数字や方法論だけの本ではない。冒頭に挙げた顧客との継続的な信頼が、常に西井さんのビジネス論の根幹にある。
『サブスクリプションで売上の壁を超える方法』での「顧客に暮らしを提案できているか」、「顧客の成功体験をアップデートできているか」といった発言は、西井さんがビジネスの成功要因が顧客体験にあることを強く訴えかけている部分だろう。
そのために「カスタマーサポートはプロフィットセンター」「それぞれの部署にいるプロフェッショナルを横断的につないだサービス進化チームは~顧客を中心として、部署間を横断的につなぐ~サービスの成長をけん引し、新事業を生む」など、企業の側も仕組みだけではなく人が大事だと語る。
これは『デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法』でも同様で、「デジタル部門は組織横断型のチーム」「トップがデジタルを理解していない会社なんか、先がないから辞めた方がいい(笑)」と、両書とも社内組織の話で締めくくられている。
だからこそ、西井さんの本を教科書として活用すると、メンバーが実務を学ぶだけではなく、その根拠となる数字や考え方も身に付け、組織横断的な経営視点での思考まで身に付けていくのだ。
私自身、コンサルティングとは、ある一定期間でこちらのスキル移転が終わったら、新しいテーマがない限りは終えるものだと考えている。終わった後でも、いつでも振り返れるように西井さんの本を読んでもらうのだ。いい本は、何度読んでも気付きがあるものだから。
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