「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #01
DeNA 敏腕マーケターが語る、理想的なキャリアに必要な3つのスキル
マーケターが歩むべきキャリアとは何か?
はじめまして。DeNAというIT企業に勤めている今西と申します。
DeNAという会社の事業ドメインは、スマートフォンのゲーム、野球やバスケットボールなどスポーツ、ヘルスケアなどまで幅広く、共通理念としてはインターネットを通じて世の中にデライト(喜び・歓喜)を届けるということを掲げています。私はそこでヘルスケア領域のマーケティング/DX事業を担当しております。また、DeNAの仕事以外にも副業でマーケティング戦略や人材戦略を支援していたり、大学で講師もしています。
私の連載では、日々変わる顧客ニーズに向き合って、良質なマーケティングを提供すために、マーケターがどのようなスキルを積んで、どういったキャリアを歩んでいくのが良いのかという考えをお届けできればと思っております。
理想のキャリアを見つけるために「3つの軸」を意識しよう
マーケターがどのようなキャリアを積んでいけば良いのかというテーマは、マネジメントレイヤーから、新たにマーケティング担当になった人まで共通の課題です。今回は連載の第1回目ということもあり、マーケターに必要な考え方に加えて、私のキャリアも簡単にご紹介できればと思っています。
「キャリアを探す軸」は、多種多様で正解はありません。ただ、基本的には次の3つの軸から整理して構築できるのではないでしょうか?
1.Will=「やりたいこと=自身の意志」
2.Can=「できること=自分が持っている能力」
3.Must=「やらなければならないこと=ミッションに対する事業貢献」
ここで大切なのは、Will「やりたいこと=自身の意志」だけが強くても、Can「できること=自分持っている能力」が弱ければ、ただの独りよがりでうまくいかないため、経験や能力のバランスが大事だということです。
マーケターに限らずですが、Willは妥協する必要がないものの、まずはデキること(Can)を増やすのが大切です。
私は大学卒業後に食品メーカーに入社し、そこで2年ほど営業職を経験しました。良い会社でしたが、社風としては典型的な日本企業で年功序列が強い会社だったので、成果主義がメインの会社を探して上場前のDeNAに入りました。当時の売上は年間約5億円でかなりの赤字でした。この時はWillというよりも、ひたすらCanとMustに専念し、まずは実力をつけることを優先していました。
当時を振り返ってみても、最初の段階ではCanの領域をいかに増やすかが本当に大切だったと思います。なぜなら、様々なことにチャレンジしないと、自分自身で何ができるか、何がしたいのかを見出せないからです。その状態では、Will(やりたい事)が本当にやりたいことなのか、その成功確率も含めて冷静にジャッジできません。キャリアを構成する上で大切なのは、自分の実力を俯瞰的に把握し、Will/Can/Mustのバランスで選択していくのが大切です。