DeNA 敏腕マーケターが語る、理想的なキャリアに必要な3つのスキル

 

「Unique skill」とは何か。「人間力」で差別化

 そして、最後の「船の帆」の部分に何を持ってくるかです。ここが独自性「Unique skill」です。

 実際の船でも、帆の部分に自分が好きなデザインにしたりして、独自性を出していることが多いと思いますが、発想は同じです。ここで、いかにユニークで唯一無二な人材になるかです。

 他の人が持っていない独自の能力を持っていれば、リプレイスされることはありません。特に今後は色々な物がAIにリプレイスされ、人間にしかできない分野を突き詰めることが大切です。自分が他者と比べて、ユニークな要素は何かを考えてみるのはいかがでしょうか。

 では、「そう言う、おまえのUnique skillは何なのだ？」というツッコミが来そうですが、私の場合は「コミュニケーション能力」だと思っています。AIがどれだけ発達しても、現時点では何かを最終的に決めるのは、人間自身で、必ずコミュニケーションが伴って来ます。



 私は進学率が高くない京都の高校出身で、関西という土地柄で周囲にお笑い芸人を目指す人が多く、何か事象があるとツッコまざるを得ない特殊なコミュニケーション体質です。お会いしたことある人には、今まで会ったことがないタイプと言われることも多いです。

 ここで重要なのは、コミュニケーション能力の「高い低い」という話ではなく、（もちろん高い方が良いに決まっていますが）ユニークで印象に残るタイプかどうかです。

 仕事は「誰」としたいかが大切で、どんなに優秀だとしても人間的に微妙な人とは本能的に仕事をしたいとは思えません。人間力は、常に磨いておかねばなりません。

 例えば、ナイアンティックの足立光さんは凄腕マーケターとして認識されていますが、あの方が本当にすごいのは、マーケターとしての能力はもちろん、人を惹きつける人間力だと思っています。私も色々なところで足立さんにお会いしていたのですが、マクドナルドの増田さんと、チョコレイトの難波さんと3人で、六本木のマーケッターが集まる夜光虫というバーで、初めて足立さんと飲んだ時に、私がお酒を飲めないのを見越して、すぐにシャンパンの代わりに烏龍茶を持ってきてくれました。

 「この人は、お酒が飲めないのかな？」と人を観察している、気づかい力の高さだと思います。こういう気づかいから生まれる人間力を、ビジネスパーソンとして持っているかどうかで、差分が出てくると思います。

 先ほど紹介した「Basic skill」、「Core skill」である程度のマーケターとしての基礎を構築し、その上で「Unique skill」で差別化する。それが、どう事業に結びついて結果を出せるかが、マーケターの全てなのです。

 今回は、「Will / Can / Must」からなる現状把握、船に例えたスキルの話、加えて両方に影響する人間力の話をしましたが、いかがでしたでしょうか？

 ご自身がキャリアを形成する上での、何かの参考になればと思います。

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