ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #53
リユース業界の革命児。バリュエンス 嵜本社長が挑む世界攻略と、個人資産の見える化
世界進出に挑む背景。オークションをオンラインに完全移行
田岡 現在は消費者向け店舗や海外展開など、事業のポートフォリオを増やされていますが、他に打とうと考えている戦略はありますか。
嵜本 2019年11月に発表したのですが、今年8月末でこれまでリアルでやってきたオークションを、香港を除いて全て辞めることですね。
田岡 えっ、それは確定しているんですか。
嵜本 はい。そして9月から全てオンラインに切り替えます(編集部注:新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、大幅に前倒しして2020年4月にオンラインに切り替えた)。
今は日本国内で買取った物を国内のマーケットのみで販売していますが、私たちの成長スピードが早く、商品がマーケットに対して供給過多になりつつあると感じています。
そうなると、ひとつの商品に対する入札数が減り、落札単価が上がりにくくなってしまうので、世界中のリユース事業者がどんな場所からでも入札できる仕組みを整えなければいけないと考えているんです。
田岡 では、商品の状態もオンラインでチェックできるようにするんですね。
嵜本 はい、オンラインでまるで手に取るように商品の状態が分かるサービスをつくろうと考えています。2025年までに世界でも代表的なグローバルプラットフォーマーになることを目指しています。
田岡 買い手は、あくまでも法人なんですか。
嵜本 そうですね。消費者でもいいのですが、あくまでもBtoCリユース事業者向けに対する販売に徹することが「私たちの勝ち筋」だと思っています。私たちも香港や国内で中古ブランド品の消費者向けの販売も行っていますが、それは認知度アップなどが狙いです。どの企業もBtoCをやりたがるのですが、それでは独自のポジショニングが形成しづらいと考えています。
田岡 日本は成長市場ではないため、消費者向け販売は競争が激化して、大変ですよね。
嵜本 はい、それにBtoCをやるには在庫を持たないといけません。私たちが今後考えているモデルは、オークションでの落札者に対して、商品は私たちの倉庫に置いたまま、所有権のみを移転させます。
その後、私たちが落札者の代わりにその商品を当社の販売プラットフォーム上で一般消費者に販売し、注文が入った後、私たちが消費者に直接商品を発送するというものです。