「元書店員マーケター」オススメの一冊 #10
「数字力はどう伸ばせる?」数字が苦手なマーケター必読の一冊【書評】
肌感覚だけで仕事をしていないか?
分析事例だけではなく、なぜ数字で伝えなければならないのか経営の本質に迫るシーンもある。
柴崎「その企業はいわゆる社長のワンマン経営で成長を続けてきた企業でした。~その決定理由のほとんどが、『俺の経験と直感』だったのです。ある日、社長の意見と現場の意見が真っ向から対立したことがありました。現場の意見も論理的な根拠があったわけではなく、言うなれば現場の『肌感覚』だったのですが…結局、その社長は自分の意見を押し通し、会社にとって重要な意思決定を行いました」
木村「それでどうなったんだ?」
柴崎「その後、事業は急速に悪化し、やむを得ず社長はリストラを実行することに(中略)予想にせよ、予測にせよ、絶対に外れないなんてことはあり得ませんよね」
木村「ああそうだよ。だからいま、そう言ったじゃないか」
柴崎「ならば、外れた後が大切なのではないでしょうか。木村さん、意思決定のとき、周りの仲間のことを考えたことがありますか」
その他にも「人員計画と売上の相関性」「コスト削減を%で示す」「プレゼン資料の数字とグラフの使い方」など、仕事における様々な数字の使い方をわかりやすく例を挙げて説明している。これで、この本を私がお勧めする理由が伝わったのではないだろうか。
筆者自身、今でも「数字が得意ですか?」と聞かれると「苦手です」と答えてしまうが、続けて「でも、ビジネスを数字で見える化することはできます」と答えられるようにはなった。
多くのマーケターが数字をもとに仕事をしているのに、苦手だと思っている人が多いのではないだろうか。この本に登場する木村のように、「データの海に溺れず」に仕事で数字を使えるようになれたら、もっと社内での理解者が増え、仕事のストレスも減ると思う。一度読んでみては、いかがだろうか。
- 他の連載記事:
- 「元書店員マーケター」オススメの一冊 の記事一覧
- 1
- 2