マーケターズ・ロード 紺野俊介 #03

入社直後に武器になったのは、IT知識と体系化するノウハウ【前・アイレップ社長 紺野俊介】

前回の記事:
新卒で入社した会社を1年で辞めた理由と、創業者・高山雅行との出会い【前・アイレップ社長 紺野俊介】

ITリテラシーが、キャリア形成上の武器になった

 アイレップに入社してすぐに、自分のITの知識が武器になるということに気づきました。当時のインターネット広告業界の人は、想像以上にITのことを理解していなかったのです。

 例えば、クライアントから「自社のWebサイトや広告マーケティングと、データベースを連携させたい」という要望がきても要件定義ができないのです。わずかな期間ながら、グローバル規模のIT企業でエンジニアとして働いた経験が、私の武器になりました。

 また、2003年はGoogle アドワーズおよびOvertureスポンサードサーチ(現・Yahoo!プロモーション広告)といった検索連動型広告が開始したばかりの頃。勘のいいクライアントは、その価値を認識しており、営業電話をかければアポイントがとれ、入社から数カ月は朝から晩までテレアポ、テレアポ、テレアポと、クライアントを訪問し続けました。

 そうするうちに入社1カ月で、1社目のクライアントと契約できました。ところが、いざ契約となると、契約における確認事項や、契約書のフォーマットが社内にないのです(笑)。

 そこから、営業プロセスにおける「サービス・レベル・アグリーメント(SLA:提供者と利用者との間で結ばれる、サービスのレベルに関する合意。サービスの水準や品質を保証するもの)」や、事業領域に特化した組織編成、広告管理システムをつくることが、自分の業務にとっても会社の成長のためにも重要であると気づきました。



 ここでも前職の経験が生きました。EDSジャパンは典型的な外資系企業で、体系立った手順・メソッドを重視するドキュメント文化がありました。これを、アイレップに持ち込んだのです。
 

運用プロセスの仕組み化で、会社の成長に貢献

 体系立ったメソッドが存在しないのは、運用プロセスも同様です。社内にあったのは、スタート間もないAdWords広告について個人のアフィリエイターが執筆した『免許皆伝 Google アドワーズ道場』という1冊の本だけ。それを先輩から「これを読みながら設定してみて」と渡され、途方に暮れました。

 その本以外に唯一頼れたのは、AdWordsのヘルプページだけです。当時はまだ数10ページほどしかなかったヘルプを、隅から隅まで読みました。読んでいくと、記載がないことや、実態と整合性がとれていないこと、日本語が間違っていることもたくさんあったため、拙い英語力を駆使してUS版のヘルプも読み込みました。それでもわからないことは日本のGoogle担当者に問い合わせ、本国に照会してもらうこともありました。

 そうして数カ月が経つ頃には、AdWords広告の運用を体系的に実行するレベルにまで成長できました。今では笑い話ですが、ローンチしたばかりの新サービスについて、日本のGoogleの担当者が私に質問してくることもあったほどです。

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