「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #04
「Nizi Project」J.Y.Parkのコーチング技術に見る、人の行動が変わる瞬間
相手に求めるのではない、自分に求める
皆さん、こんな経験はありませんか?
恋人、家族、取引先、社内のメンバー、誰かに何かをしてほしい時に、思い通りにいかないこと。それは多くの場合、次のどちらかの理由かもしれません。
1. 自分の伝え方が悪く、相手に伝わってない
2. 相手の理解力が低い&行動力がない
当たり前ですが、コミュニケーション上の問題になるため、「自分」か「相手」に原因があるというシンプルな考え方です。ただ、相手を変えるよりも、まずは自分を変えていく方が早いのは間違いないでしょう。
そこで今回は「伝えること」、そしてその結果、相手に「行動変容」を起こさせるために何が必要か考えていきたいと思います。
この一連の話を、前回の私の連載でも書いた「Nizi Project」を再び題材としたいと思います。おさらいですが、「Nizi Project」はTWICEや2PMを擁する韓国のエンターテインメント企業 JYPエンターテインメントが、ソニーミュージックと共同で開催したグローバル・オーディションです。
私がコーチングのプロとして捉えているのが、「Nizi Project」のプロデューサーのJ.Y.Parkです。実際、彼の振る舞いによってメンバーが行動を変え、その言葉が視聴者の心を動かしています。なぜ、彼の言葉は彼女たちを動かし、視聴者にも感動を与えるのでしょうか。
番組を見ていない人もいるので、先に答えを言うと、彼のコーチングを受けることにより、10代の中学生・高校生のメンバーの視点がどんどん広くなっていくのが分かります。
はじめは自分のパフォーマンスをいかによく見せるかのみに集中していた彼女たちが、彼の指導を受けるとチームのバランスやスキル、歌の意味や表現を考えたり、周囲がうまく作用するように行動できるようになります。以前、ビジネスドラフト会議の話をしましたが、まさにコーチングされることによって、必要とされる場所を自分でつくっていこうとする姿勢が垣間見えます。
コーチングとは何か?
そもそも、コーチングとは何でしょうか? Wikipediaには次のようにまとめられています。
一般的な英語のcoachingの意味であり、運動・勉強・技術などの指導をすること。促進的アプローチ、指導的アプローチで、クライアントの学習や成長、変化を促し、相手の潜在能力を解放させ、最大限に力を発揮させること目指す能力開発法・育成方法論、クライアントを支援するための相談(コンサルテーション)の一形態。ただし、世界的に合意された明確な定義は存在しない。
出典:Wikipedia
出典:Wikipedia
私自身も本格的なコーチングプログラムを学んだことがありますが、私なりの定義としては、「相手に目的を提示した上で、相手の現状を傾聴、観察し、向き合うことからスタート。その上で、コーチ側も自己開示を行い、双方向で継続的な会話をして、信頼関係を築いて、適切なタイミングで相手の成長を促す言葉をかけ、行動変容を促して潜在能力を引き出すマネジメント」です。Wikipediaの定義と共通するのは、相手の潜在能力を指導によって引き出して、行動を変えるというものです。
その上で、J.Y.Parkのコーチングでは、次の3つの要素が突出していると考えます。
1. 目の前の相手への深い愛
2. 相手目線でのわかりやすい言葉で伝える技術
3. 自分自身の経験で語れる説得力
それぞれ解説していきましょう。