「Nizi Project」J.Y.Parkのコーチング技術に見る、人の行動が変わる瞬間

 

1. 目の前の相手への深い愛

 まずコーチングとして、相手の行動変容を促すには、相手がどういう人なのかを理解して、向き合って信頼関係をつくるのが第一歩です。これは相手のことを知ろうとする愛が前提にあり、それがあるからこそ細かい部分も含めて特徴が目につくようになります。一流のアイドルになるためには何が足りないのか、長所を伸ばすために何が必要なのかをアドバイスできるのです。
 

 ここで大切なのは、長所に目を向けるという加点方式の目線であることです。加点方式は、良いところを見つけて評価していく方法です。反対用語で減点方式がありますが、これは悪いところを見つける度に評価を下げていく方法です。

 多くの場合、日本のビジネスパーソンが上司の顔色をみて働くケースが多いのは、上司が減点主義者だからです。一方で、心理的安全性がある状態で、J.Y.Parkのように加点評価ができるマネージャーのもとではメンバーが育つというのが、番組からも目の当たりにできます。

 ビジネスでは、自分の短所を埋めるのに時間を費やすよりも、自分にしかできないこと、つまり長所を磨き抜いて唯一無二な人材になる方が、間違いなく市場価値が上がります。その個性を見抜いて、成長機会を与えて見守るのは優秀なコーチです。

 あれこれ指示出すだけでなく、方位磁石のように向かうべく方向を示して、あとは考えさせてやり抜いてもらう過程を、口を出さずにしっかり見守ることは、現代のマネジメントにも必須でしょう。