"Go Funny" 迷ったら面白い方を選ぶ、外資経営者のキャリア論 #01

外資系企業でクビになりかけたのに、社長にまでのぼりつめた男

 

「僕はロブスターにします」会食で、自分の料理だけ注文


 一夜明けてマーケティングイベントの初日を迎えます。日本法人からは4人しか出張していませんので、せめてイベントのノベルティだけは留守番している社員にお土産で持って帰ろうと、QがHに対して人数分を確保するように、出張中、唯一の指示を出しました。

 日本からもクライアント数社を招待しており、夜はお客さまとお洒落なシーフードレストランでの会食です。こういうクライアントとの大人数のディナーでは、一番下の営業系社員がオーダーを一手に引き受けるのがビジネスマナーですので、QはHにメニューブックを渡します。そこでHは、「僕はロブスターにします」となぜか自分のメイン料理だけを選んで、メニューブックを閉じようとします。

 「いやいや、なんで自分の分だけ頼むん?皆さんの分をオーダーしてさしあげなさい(しかも、一番高いロブスターをお前ひとりで食べるんかい?)」とQは注意をしますが、内心あきれておりました。



 イベントも終盤になり、どうも唯一の社長命令であったノベルティを手配している気配がなく、QがそれとなくKに「Hは手配しているのか?」と聞いてみると、案の定手配を忘れていて、あわてて本社マーケティングの社員にお願いする始末で、とうとうQの怒りの貯蔵庫はほぼ満タンとなってしまいました(それにしても、くだらないことで貯蔵庫が満タンになる了見の狭い社長です)。
 

長引く会議に我慢ができず・・・


 日本帰国後、険悪な空気が漂いつづける中、ある週の営業会議で事件が起こります。



 Hが電車遅延で営業会議に遅れていたのですが、午前11時の終了10分前にようやく入室し、自分のパートの報告を5分程で終わらせました。

 Hはその後すぐ11時からGとのマーケティング会議があったので、営業会議がそのまま終われば、間に合うと思っていたようですが、常日頃マーケティングの仕事は喜んでやるが、営業の仕事には乗り気でないHの心情をわかっていたQは、営業会議をあえてゆっくり進行させます(本当に意地が悪い・・・)。

 11時になる前からそわそわしだしたHは、11時を超えて会議が継続されると、まるで平社員の要領をえないプレゼンに早くやめろというイライラ感を全面に表現するお偉いさん風に、人差し指で

 「トントン、トントン、トントン、トントン」

 と、机の上の自分のノートを叩き出してしまいました。

 それをQは凝視します。会議にいた他のセールスはHの態度に「肝を冷やして、肝機能停止」の一歩手前になっていました。

 営業会議がようやく終了してHがいそいそと退出した後、QはHの上司であるGに「Hは試用期間で終了する」と伝えました。しかし、Gが「猶予をもらえないですか?試用期間を1カ月延長できませんか?」と必死に庇うのです。

 Qは渋々、それを了承することになります。そして、予定していた試用期間の最終日にHはGに呼びだされ、「試用期間を1カ月延長します。それが了承できない場合、本採用はできません」と通達されました。

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