"Go Funny" 迷ったら面白い方を選ぶ、外資経営者のキャリア論 #01
外資系企業でクビになりかけたのに、社長にまでのぼりつめた男
2020/09/14
- 人材育成,
クビ宣告のHは、そこからどうする?
その日を境に、Hは心をいれかえたように変わりました。
まず、誤字脱字がほぼなくなりました。自分のやりたい仕事ではなく、やらなければいけない仕事をきっちりやるようになります。MBAホルダーであることも、鼻にかけなくなりました。不遜な態度は完全になくなり、とても謙虚な姿勢になったのです。
「人間て、こんなに変われるものか」と、あんなに怒り狂っていたQも感心してしまいました。
それで暫く経って、マーケティング部隊の人員が増強されるタイミングで、Hは営業専属になります。Hにマーケティングの資質がなかったわけではなく、数字に対しての貪欲さはどんな営業よりもずばぬけて強く、目標達成力が優れていたのです。その資質を伸ばすほうがHのためになるとQは考えたのです。
そしてさらに数年が経ち、社長であるQが退任することになります。Qは全員に話す前にクライアント訪問でHに同行した帰りに、「俺はこの会社を辞める。次の次の社長はHがいいと思う」とリップサービスも入れて伝えました。
そこで、Hは久しぶりに大きな間違いを犯します。上司が辞めるというタイミングに、ニヤッと笑ってしまったのです(そういう、現金なところが営業に向いているのかもしれませんが)。
Qの退職後も、Hは2代目社長のもと活躍を続け、「コンスタントに営業目標を達成し続けたこと」「全ての関係者に対して、謙虚な姿勢でコミュニケーションをとり続けた誠実さ」「諦めず努力する忍耐強さ」が高く評価され、入社からちょうど10年後、みんなに祝福されて、3代目社長に就任します。