「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #05

マーケティングにコミュニティが必要なワケ

 

なぜ、今コミュニティが必要なのか?


 なぜ、今コミュニティが必要なのか? 私は次の3つの理由があると考えています。
 
  1. 日本という国で、勝負していると人口の増加は期待できない
  2. 良いものをつくって売れる時代の終焉
  3. プロダクトに反映できるお客さまの声

 1.はニュースでも日々報道されている通り、日本は少子高齢化が進み、企業の提供しているサービスにもよりますが、DeNAのようなアプリ提供会社は、新規のお客さまに使ってもらったとしても、先細りしていくことが見えています。

 つまり、ひとりのお客さまを獲得して増やし続けるよりも、ひとりのお客さまに継続して使ってもらえるようにリソース(お金、人)を投下する方の効率が良いケースがあるのです。もちろんどちらを優先すべきか、という話しではなく、両方とも重要ですが、リソース配分は意識すべきだと思います(サービス主体が日本ではなく海外の場合は、1の理由は当てはまりません)。

 2は、冒頭に申し上げたとおり、企業から消費者への一方的な広告はどんどん効果がなくなります。これは良いクリエイティブや「Moment(瞬間)」を捉えた広告であれば、効果を維持できる場合もありますが、大きな流れとしては避けられないため、お客さま同士のつながりを企業がサポートするという側面は必須です。

 3は、私がコミュニティマーケティングを一押ししている理由です。ファンコミュニティもしくはTwitterなどSNSでサービスを使っているお客さまの声を傾聴することです。もちろん中には好意的な声だけではなく、かなり辛辣なお言葉を寄せられることは日常茶飯事です。ただし、こうした批判的な声にも真摯に向き合ってサービスをアップデートしていくことが何よりも重要です。



 むしろ現代は、SNS上でユーザーの意見が出てこない商品・サービスは生き残れません。良かれ悪しかれ、何らかの意見が必ず出てくるため、それをプロダクトに反映させていくことがとても大切です。コミュニティをつくることで、ユーザーの声を一気に集められるのです。

 今回は、コミュニティマーケティングに取り組むべき背景と理由をまとめました。私のもとにも月に数件ほど、「社内でコミュニティマーケティングを進めるにあたり、上司の許可が取りにくい」という相談がきます。

 そういう場合は、まず背景や理由を明確にしつつ、次回以降で紹介するKPI設定が重要になります。もし社内説得で苦労されるケースなどございましたら、遠慮なくご相談いただければと思います。それでは、第2回の原稿を今から執筆します(笑)。
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