「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #06

DeNA 今西陽介流、コミュニティマーケティングを成功に導く十カ条

 

二.目指すべきゴールを設定する大事さ


 お客さまの潜在・顕在ニーズを理解したら、次にやることは「ビジョンとゴールの策定」です。お客さまに、さらにファンになってもらうためにそのコミュニティで実現したいビジョンは何なのか、明確化します。

 言わば、方向を指し示す方位磁石とも言え、それがなければ、周囲も説得できない上、一緒に動くメンバーも付いてこないでしょう。

 その内容は、シンプルにコミュニティマーケティングによって、どのような変化が起きてほしいのか、丁寧に言語化することだと思います。いわゆる「Before/After」で、お客さまの状態を定義することです。

 ここでは「コミュニティの中心にいる人=プロジェクトリーダー」の熱量を周囲に伝播できるかが大事です。この段階でも、まだKPIを全面に出す必要はありません。大切なのはデータを見ることよりも、お客さまの喜ぶ顔を想像することです。また、ビジョンやゴールは簡単にひと言で言えるくらいシンプルなものにするのも、社内でチームづくりをする上で大切です。


 

三.最初に動いてほしいお客さまは、どういう人なのか?


 お客さまと一言で言っても、「a. 毎日サービスを利用するお客さま」「b. 1年に1回しかサービスを使わないお客さま」のように使用頻度が異なります。

 aとbのお客さまが同じコミュニティにいる場合、双方にとって満足度の高い施策を実現しようとすると、当たり障りのない企画になりがちです。その結果、誰の満足も得られないという、「二兎を追う者は一兎をも得ず」になります。

 まずはファンになって欲しい人を定義することが必要です。サービスにもよりますが、10人前後の小規模のコミュニティからスタートし、その熱量を高めていくのもありでしょう。どうしても人数を追い求めがちですが、ここは歯を食いしばって、熱量を伝播してくれる人は誰なのかを把握し、その人たちを巻き込んでいくことが大切です。

 毎日サービスを使っている人と、1年に1回サービスを使う人では、熱量が違うのは言うまでもありません。最初にコミュニティに入ってほしい人は誰なのか、その人が熱量を最大化させるために必要なことは何なのか、考えるのです。

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