「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #07
ファンの価値は、どう計測できるのか【コミュニティマーケティングを成功に導く十カ条】
2020/10/23
⑨あなたのファンはいますか?
コミュニティをつくるというのは、自社サービスやブランドを社外のお客さまに好きになっていただく活動のひとつです。これは当然、簡単なことではありません。
なぜなら、最初は関係値のないお客さまに親しみを持っていただいて、そこから好きになってもらうという流れを踏むからです。
一方で私は、すでに関係値のある「社内のコミュニティを動かす力がないと、社外のお客さまは動かせない」と考えます。すなわち、あなたがつくり出すコミュニティに賛同したり、手伝ったり、目をかけてくれたりする人がどれだけいるかが、コミュニティ形成のスタート地点です。経験上、社内を動かせない人が社外を動かせるというケースは、ほとんどありません。
こういう話をすると、「社内の人はわかってくれない」というコミュニティマネージャーの嘆きの声を聞きますが、これは単純に「コミュニティマーケティング十箇条」を関係者に説明できていないだけです。
もしくは説明できたとしても、ビジネスとの相性もあり、推進できない会社もあります。大切なのは、前回話した通り、コミュニティ形成というHOWではなく、会社の課題が何かを考えて、それに合う施策を展開していく力がビジネスパーソンには必須です。
⑩とりあえず、難しく考えずにしてみる
シンプルに大切なことです。ビジョンやKPIをつくり、関係者を巻き込むことは必要ですが、コミュニティづくり自体は、費用も人員をかけなくても取り組めるケースは、いくらでもあります。
すなわち、まずは勝手に費用をかけずに実施して結果を出し、一気に体制や予算を整えて進めていくという方法です。まさに、社内コミュニティマーケティングです(笑)。
思えば、私も2013年ころに誰に確認をしたわけでもなく、勝手にアプリでコミュニティをつくることが大切だと考えて、数値と実績をつくり、既成事実化して進めました。今では、30人以上がコミュニティ形成の仕事に携わっています。
現代のデジタルマーケティングの運用は、AIで自動化され、どんどん効率化されます。その一方で、効率を追求すればするほど、効果の良いメディアは少なくなってしまいます。その減った予算を、何に使うとお客さまが活性化するのかという視点から、コミュニティマーケティングを強化するのもスタート地点になると思います。
いかがでしたでしょうか。今回は、2回にわたって「コミュニティマーケティング十カ条」を紹介しました。
コミュニティに関わらず、マーケティングの原点は、お客さまのニーズを的確に捉えて何を提供するかです。そのために、関係者で意識を共有し、共通言語を持ち、楽しんで仕事をする姿勢は、きっと社外のコミュニティにも熱量として伝わるため、改めて意識していければ、と原稿をまとめながら感じました。
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