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自分の価値を「ひとつの会社」のBS・PLで捉える。急成長を続けるベクトルの人材戦略

 2020年5月、国内最大の総合PR会社であるベクトルの代表取締役社長に、創業メンバーである長谷川創氏が就任した。同社は10年連続で売上を伸ばし、ここ数年は、主力のPR事業を拡張し、ダイレクトマーケティングやセールステック、プライバシーテックなど、グループ全体におけるクライアント相互送客などのエコシステムを構築し、順調に事業を広げている。

 この急速な事業立ち上げと拡大の中で、さまざまな業界から多彩な人材が集まってきている。そして、その成長をサポートしているのが、常に自身の価値をBS(貸借対照表)やPL(損益計算書)の観点で捉え、成長を促すベクトル独自の人材戦略だ。近年、同社の人材マネジメントに深く携わってきた長谷川氏から、事業拡大の背景と人材戦略について詳しく聞いた。
 

「コミュニケーション」領域のすべてを担い、生活者の課題を直接解決


――長谷川さんは、創業メンバーとしてベクトルに参画されています。創業から現在までの流れを簡単にお伺いできますか。

 ベクトルは取締役会長の西江が学生時代に立ち上げた会社で、私も学生のときからスーツを着て、営業活動をしていました。当時はセールスプロモーションやサンプリング、情報誌の制作などを請け負っており、ちょうどバブルが終わったばかりでしたが、学生ビジネスということもあって、たくさんのクライアント企業から可愛がってもらいました。

 そこからPR事業に移行したのは、創業から7年ほど経った2000年頃。参入したときは、PR業界の老舗企業が広報部門とがっちり組んでいたため、後発としては苦戦を強いられました。

 その後、リーマンショックが起こり、マーケティング予算は大きく削減されましたが、それでも企業は新しい商品を発売して、アピールしていかなければならない。そこで、PRの価値が再認識され、コミュニケーション戦略における役割が重要視される流れが生まれました。

 さらに、それより少し前から、ポータルサイトやブログメディアが台頭し、デジタルの波が到来。その動きに合わせて、デジタルコミュニケーションをPRに組み込んでパッケージ化し、デジタルを中心としたPRのスタイルにいち早く移行できたことも、成長につながった要因でした。  
  
長谷川創氏
ベクトル 代表取締役社長
1993年 創業メンバーとしてベクトル設立に参画。1995年 郵政省(現日本郵政)入省。1997年 ベクトル入社。2001年 取締役を経て、2004年 ベクトルスタンダード(現アンティル)を設立し、代表取締役に就任。2015年 維酷公共関係諮問(上海)有限公司董事長(現任)。2018年 Direct Tech代表取締役(現任)、2020年5月より現職。

 現在のように、事業領域を拡大したのは2014年頃からです。当時はPR事業の売上が全体の90%を占めていましたが、現在は50%程度となり、従業員数も300人から1200人と6年で4倍になりました。

 その拡大の理由のひとつは、コミュニケーション領域における戦略立案からコンテンツ開発、そしてあらゆる手段を駆使した情報流通まで、全てを担うためです。

 企業が伝えたい情報を生活者に届けにくくなっている今、情報流通の手段を拡大させていく事業を新たに生み出し、企業と生活者の接点そのものを増やすだけでなく、情報との出会い方そのものを変えていき様々な出会いを生み出していきたいと考えたからです。さらには、コミュニケーションを軸に事業領域を拡張させ、生活者の課題を直接解決するようなサービスも提供するようになりました。
 

「挑戦」する人を採用し、組織に新陳代謝とイノベーションをもたらす


――事業領域を拡大していく中で、人材戦略はどのように変化してきたのでしょうか。

 事業領域を広げていく上で重要なのは、「ビズデブ(ビジネスデベロップメント・事業開発)」です。つまり、単純にプロジェクトマネジメントができる人材ではなく、社内外を巻き込みながらビジネスとして発展させていく人材が必要だと考えています。

 そこで、2018年頃から積極的に採用しているのが35~40歳前後の世代です。この世代は社内で活躍し評価もされ、それなりの報酬をもらっている一方で、今後の自身のキャリアやライフワークについて、深く考え見つめ直している人が多い印象です。

 このタイミングで、一念発起して起業するか、別の会社に転職するか、同じ会社に居続けて出世を狙うか。様々な選択肢がありますが、野心がある人は行動し、この時期に大きなチャレンジをしたいと思っています。



 とは言え、独身の時代とは違って守るべき家族が増えていたりすると、大きなキャリアチェンジに対して不安を感じることも、もちろんあると思います。ベクトルでは、そういった不安も解消しながらチャレンジしやすい環境づくりに力を入れています。

 例えば、社内の人材で言うと、フリーエージェント制度によるグループ内転籍や、グループ内起業として新たな事業に挑戦してもらうなど、新しい活躍の場を提供しています。社外に関しても、進出する領域に合わせて人材を積極的に採用し、すぐに活躍できるような環境を整えています。新たな人が入社することで、外部の文化や考えをもたらしてくれることも、組織全体としての新陳代謝とイノベーションにつながっています。

――新しい事業を任された方は、その後どのように活躍しているのですか。

 基本的には事業責任者自身が社内外から人材を集めて、チームビルディングしてもらいます。事業規模にもよりますが、事業立ち上げをひとりで行う場合もあれば、10~20人程度までのチームをつくる場合もあります。自身の今までの経験を新しい事業構築に活かしつつ、事業推進フェーズにおいては、グループ内アセットを活用することによって、新事業の構築は非常に相性が良く立ち上がりやすいです。

 例えば、いま当社が力を入れているD2C領域では、ECにおけるプロフェッショナルが事業の中核を担っていますが、PR部分のサポートはグループに依存しています。D2Cという事業を通してグループ各社が連携し、ビジネスを成功させることで、関わる全てのメンバーも元気になり始めるという相乗効果が生まれています。

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