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自分の価値を「ひとつの会社」のBS・PLで捉える。急成長を続けるベクトルの人材戦略

 

「会社から借りて、自分を育てる」自身の価値をBSやPLで捉えるとは?


――獲得した人材を定着させて活躍させていくためには、人材評価が重要だと思います。ベクトルでは社員に自身の能力評価をBS(貸借対照表)的に、また業績評価をPL(損益計算書)的に捉えてもらい、自分の価値を把握してもらいながら成長を促していると聞きしましたが、これはどういうことでしょうか。
    
 きちんとした制度として活用しているわけではないのですが、常に自身の「能力評価としてBS(貸借対照表)の考え方」、「業績評価としてPL(損益計算書)の考え方」を用いて、自分の価値を見つめるよう伝えています。

 PRの業務は、早くからクライアントであるお客さまとやりとりをし、施策を進めることが多くあります。そのため、入社数年目でも「自分の力だけで成果を出せている」と錯覚することがたまにあるんです。

 人材分析としてのBSは、自分自身の持つ純資産やベクトル社から借りている負債を明らかにすることで、社員のリアルな現状と課題を見つめてもらい成長のサポートに役立てることが狙いです。

 例えば、入社1年目の新入社員が持っている純資産は「人に嫌われない」「挨拶ができる」など、もともと持っていたキャラクターの部分だけです。それに対して負債は、たとえば「ベクトルとしてのこれまでの実績を看板に営業ができる」などベクトルの社会的な信用によって得られる条件や、会社が提供する教育研修などです。

 この負債は1年目の社員であれば、全員同じです。ただし、純資産の大きさは人それぞれでしょう。この負債と純資産の合計が総資産になるため、それぞれが純資産を増やす努力をすると同時に、さらなる負債を借りられる人間になることで、総資産を増やしていくイメージです。



――BSの考え方で分析することで、自分の能力などの純資産ばかりでなく、負債にも目が行きやすくなりますね。

 はい。どちらかと言えば、負債を自分の純資産だと勘違いしがちな人が多いので、現状を正しく認識してもらうために効果的だと思います。特に若手は、会社の名刺があるからできていることを、自分の能力だと勘違いしている場合が多いんです。このBSは、組織に所属している価値を正しく認識させられるため、人材の離脱防止にも役立ちます。

―― 一方で、PLはどのように人材評価に結びつくのでしょうか。

 まずPLでは、シンプルに数値目標に対する達成度合いや進捗を、そのまま数字で評価します。業績評価と同じですよね。そして、そこにさきほどのBSから、その社員の持つ純資産を抜き出して定性的な能力評価を行い、これらを組み合わせて報酬を決めていきます。

 たとえ業績評価が高く300万円の報酬に相当していたとしても、その過程で何人もの部下が辞めてしまっていたとしたら、BS評価でマイナスになり150万円になるということもあります。その基準をはっきりさせることで、評価における総合的なバランスを保つようにしています。

――この考え方で、実際に成長した社員はいますか。

 はい、今や子会社を背負っている社員をご紹介しましょう。入社したばかりの彼の純資産と言えば、「人懐っこさ」や「努力家」なところだけでした。

 ただし、彼は純資産である自分の能力をどう高めるかという視点をもっていたため、例えば、「提案書の準備が遅い」と言われれば、次回からは「翌日に出す」といった具合に、マネジメントのアドバイスを聞いて努力したため、新人の中でもいち早く成長していきました。

 その頃から、彼は頭の中にBSを持っており、自分が成長するためには、会社から「挑戦できる環境」を負債として借り入れなければ、純資産も大きくならないということに気づいていました。そこで自ら、海外赴任を志願することで、うまく会社から負債を引き出し、純資産を増やしていきました。



 ベクトルはBSで自分の総資産を拡大して生産性が上がれば、給料も上がるというロジック。それが分かっていれば、自分の改善点を指摘されたときも素直に受け入れ、成長につなげられるようになるのです。

――この考え方は他社でも活用できそうですね。最後に、人材戦略について今後の展望を教えてください。

 もともと、ベクトルは成果主義を大事にしてきました。ただ現在は、単純に成果に応じて報酬を提供するだけではなく、その仕事に対して、どのような価値を与えられるか、という意味付けが大事になっていると思います。

 ここ数年の社員の価値観が、社会や周囲との「共感」を重視するように変化していると感じています。ベクトルグループとしても、社会に対する存在意義を示していかなければ、人材が定着しない時代に入っていると思います。

 そもそも、社会に対する存在意義そのものが、事業を手がける際にきっちりと定義すべき根幹の部分でもあると思います。これまでにないスピードで、事業創造カンパニーとして様々な領域に挑戦を仕掛けている今、なぜベクトルがその事業を進めるのか?その事業で生み出す社会的価値は何か?を明確に示し、共感してもらうということも、人材戦略上大切な部分だと考えています。

 このBSやPLの考え方に加えて、社会に対する存在意義をしっかり打ち出すことで、会社として社員に成長の機会を提供していきたいと考えています。
 
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株式会社ベクトル
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