「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #08

インディーズバンドの法則。コアなファンを大事にすることを忘れてはいけない

 

4. インディーズバンドの法則


 ここでひとつ、コミュニティを拡大する時の注意点をお伝えします。サービスや商品が最初からヒットしていなくても、その後、商品改良や新しいマーケティング施策を行うことで、お客さまから支持されることがあります。

 そして拡大フェーズになったときに、マーケティング担当者は新規のお客さま向けの施策を大量に投下しがちですが、ここで忘れてはならないのは昔から応援しているコアなお客さま向けの施策も丁寧に行うということです。

 そうしないと、コアなファンが離反してしまいます。これを私は「インディーズバンドの法則」と名付けています。

 皆さんの周囲にも、こういう人がいなかったですか?
 
  • インディーズ時代からコツコツと努力していて名曲も多いが、売れていないバンドがいる。
  • そのバンドの曲がテレビCMなどに使われたことをきっかけにして、突如として売れ始める。
  • 昔からファンだった人は、「売れる前からファンだったんだよ」とアピールする。
  • さらに「メジャーになってから、何かが変わった」と意見する。



 これはマイナーからメジャーになると、既存ファンの方から一定量出てくる不満です。こういう状況に陥らないために、既存ファンを第一にしながら、戦線を拡大していくことを忘れてはなりません。

 芸能人が最初にファンクラブに情報を提供してから、その後にマスコミに情報を出すのと同じ流れです。コアなファンを大切にすることを忘れてはならないのは鉄則なのです。また、例えば、地方のライブハウスから憧れの武道館のステージに立つ時は、改めてコアなファン、ライトなファン、それぞれが何を求めているのかを考えることがマーケターには求められます。

 ただし、マーケターは俯瞰してお客さまを判断して行く目を持っていることが、いかなるシーンでも必要です。自分の体験としては、とことんコアに寄るべきですが、判断は冷静にできるかで企画の成否が決まります。

 いかがでしたでしょうか?

 これまで4回に渡って、コミュニティ形成からファンをつくって行く話をしてきました。大切なことは、前回までの「十カ条」でもお伝えしましたが、お客さまの変わりゆくニーズを、正確に把握できるかどうかです。

 単純な数字ではなく、常に自社のお客さまがどういう時に喜んで、どういう時に悲しむかを理解して、具体的にアクションしてくことが大切です。
他の連載記事:
「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 の記事一覧

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録