"Go Funny" 迷ったら面白い方を選ぶ、外資経営者のキャリア論 #04
突然、自分の勤める会社が買収(M&A)された時に必要な心構えについて
プレジデントとも決裂。絶体絶命
その後、しばらくの間こちらの協力者を見つけて、何とか部下のクビを回避しようとしますが、大元で指示を出したAdap.tv 本社プレジデントであるトミー(仮名)と話ができないので、埒があきません。
2カ月後、とうとうAdap.tv本社への出張が入り、トミーと1対1で話をする場がやってきます。開口一番、トミーから「儲かってないので、みんな辞めたがってるだろ? だから、別に構わないんじゃないか?」と言われます。
「スタートアップの苦しい時期に仲間を鼓舞しながら乗り切るのが、リーダーの仕事じゃないのか? 俺はそのつもりでやっているのに、何てことを言うんだこの男は!」と心中は呆れつつ、「では、将来のビジョンはどうなっているんだ?」と質問したところ「明日のことは誰もわからないよ」と答えたのです。
私は怒りに打ち震え、絶句してしまいました。1mmだけ残っていた理性で、汚い言葉で罵るのを何とか我慢して席を立ちました。
私は完全に愛想を尽かしてはいましたが、その数カ月後にトミーが退任し、Adap.tvチームをAOLと日本企業の合弁会社に統合させることによって、なんとか自分の部下の解雇は回避できました。
買収する側に回って、わかったこと
そしてしばらくして、またAOLは買収します。今度は、M社の広告事業でした。私は人生で初めて、買収する側に回ることになります。
その買収先である広告事業部隊と面談する中で、ひとりだけ反抗的な態度をとる社員がいました。まさに昔の自分を見るようでした。
全員を引き取る条件であったため、その社員の受け入れを拒否することはありませんでしたが、そういう態度をとる人は買収側からすると扱いづらく、一緒にやろうという気分にはなりませんでした。逆の立場になって初めて、私は自分の過去の過ちを自覚するのでした。