「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #09

マーケティングの最先端を行く、コロナ禍で生まれた「劇団ノーミーツ」

 

オンライン演劇の、従来の観劇スタイルとの違いは?


 映画でもそうですが、演劇は一般的には上映中に観客同士で話すことは、周囲の迷惑になるというマナーの観点から“良し”とされていません。

 これには、良い面と悪い面があると思っています。良い面としては、集中して演劇を見ることができることです。

 一方で悪い面としては、感動を共有しづらいことです。例えば、2時間の演劇で開始20分頃に面白いシーンがあったとして、見終わった後、一緒に見に行った人に「冒頭のシーンが、面白かったよね?」という会話をした時に「え、なんだっけ、それ?」となった経験は、誰しもがあるのではないでしょうか。

 オンライン演劇はその場のチャットで感想を言い合いながらコンテンツを見ることができ、その瞬間瞬間の熱量を誰かに伝えるという点で非常に優れています。

 誰かと同時進行で驚きや感動を共感したいという人は、従来の観劇と違った体験ができるのは間違いありません。例えば、ボケに対して全員で突っ込んだりすることでより一体感が生まれますし、少し理解が難しい場面では解説してくれる親切な人も現れます。まさに、劇を通じてできあがったコミュニティです。この感覚は、オフラインで見知らぬ人同士では起きにくいオンラインならではの現象でしょう。もちろん、もし観劇の邪魔になるという人はチャット機能をオフにできます。

 コロナ禍で人と人との関係が希薄になりがちと言われている中でも、共通の趣味や目的を持った人同士は打ち解けやすいのは間違いありません。これを、たった2時間で体験できるのがオンライン演劇の良さです。
 
12月に行われた公演『それでも笑えれば』

 今の世の中、プロダクトアウトでできあがった演劇を体験してもらうというよりもお客さまの反応をリアルタイムで見ながら、劇の内容をリアルタイムでつくっていく「共感→協創」をしていくスタイルは、お客さまから支持されるポイントだと考えています。

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