「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #10前編

Clubhouseは、なぜ人気? 魅力を「体験」軸から考えてみた

 

Clubhouseの魅力とは何なのか?






 

1. 「音の魅力」の発見


 これは、アプリを運営しているAlpha Exploration Co.の技術が優れているという点に尽きます。

 ビジネスで使うオンラインミーティングツールは、音声の質、被った場合のぎこちなさ、タイムラグなどいくつかの課題がありますが、Clubhouseはそれらがなく、発言者がよほど屋外などのうるさい環境にいない限りは、スムーズな声のやり取りが可能です。

 アプリでコントロールされているため、声の大小にかかわらず一定の音量で出力され、心地良い空間になります。その心地良さが延々と聴き続けられるポイントだと思います。

 また、昨今さまざまな人が発言されていますが、目や手を使うコンテンツが世の中に多くあり、埋もれてしまうために、耳を使うメディアは「Voicy」、「stand.fm」はじめ増えています。一方で、Clubhouseのようにリアルタイムで双方向に複数同時という状況で、インプットとアウトプットができるメディアは、それほどなかったのではないかと思います。

 このアプリを使って分かったのは、声を聞くと相手に対して親近感が沸くということです。Clubhouseは、アイコンはあるものの、YouTubeと違って顔やスタイルなどの見た目の情報はなく、声から相手を想像していきます。

 みなさん、今までこんな経験はないですか? 著名人のTwitterをフォローしていて、無愛想で冷たい人だと思っていたけれど、実際に話している声を聞くと意外に良い人だと感じた経験です。声というメディアは、親近感と安心感を与えられます。声を聴くと、その人のことを嫌いにならないという側面もあるかもしれません。



 最近のコンテンツは、よほど質が高くない限り、“ながら”で楽しめるものが好まれます。テレビを見ながらツイートするといったイメージです。ひとつにだけ時間を集中するようなコンテンツには、24時間しかない貴重な時間を割かない傾向が強いのです。Clubhouseを聴きながら仕事をしたり、テレビを見たりという具合に使っている人も多いので、ラジオの音声の価値や魅力も見直される可能性があります。実際、Clubhouseにもラジオや音声サービスの関係者が多く参戦しています。

 一方で、“ながら”で使うと言っても、それはレベルの高いマルチタスクでもあるため、実践する人はカロリーを消費します。一部では、早くも“Clubhouse疲れ”なんて言葉も囁かれています。私もアプリをダウンロードして以来、「Clubhouseに住んでいるんじゃないか」というくらいに使っていますが、適度に気分転換をしないと疲れます(笑)。

 普段、愛用しているスマートウォッチでストレス値を計測していますが、Clubhouseを使っているときは、一定のストレスがかかっています。私はこの数値を把握しながら、マイペースで利用することにしています。

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