「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 ##10後編

Clubhouseの功績は、数多の「価値ある雑談」を生んだこと

 

6.「コラボレーション」の発見


 人が集まると、コミュニティとコミュニティのコラボ、共創が生まれやすいことも特徴です。それに対して、今までのやり取りの障壁を軽くしたのがClubhouseの功績です。

 例えば、大都市のテレビ、ラジオ、出版系のメディア界隈のコミュニティAと、地方の名産を扱う業者さんのコミュニティBがあったとします。

 これが今までであれば、なんらかの方法でアポ取ってを、誰が出席するかみたいな調整が入りますし、会に呼ばれない人は聞いたり参加することも不可能で、一次情報に触れながらの議論ができずに、議事録など誰かの主観が入ったもの(二次情報)を見て、ビジネスを考えます。

 それがClubhouseを使えば、ルームにさえ入れば、AB双方シームレスに会話できるようになります。その便利さから、今後さまざまなコラボレーションが加速するのは間違いありません。これはClubhouseのビジネスの最大のメリットです。今後、Clubhouseを使ってどう儲けるという議論よりも、やはり人と人とのつながりをつくという議論のほうがワクワクします。

 Clubhouseの仕組み自体が、つながりの輪ができるように設計されています。アプリ自体は招待制で、招待された人はずっと保護者のように自分のプロフィールに表示されます。また、自分がフォローしている人が部屋をつくるとプッシュ通知が届くので輪が広がり、ルームに入ると通知が飛ぶので、人が人を呼ぶ仕組みができています。

 イメージでいうと、小学校、中学校、高校、大学、会社など新しい環境に変わったときに、友人の友人と繋がって一気に友人が増えるような感覚に近いかもしれません。



 以上が、Clubhouseを使ってみた所感です。

 私の自戒を込めて、最後に考えをまとめます。Clubhouseは、目的次第で使い方が変化するものだと思います。その目的とは、ビジネスの知識を得たい、雑談を楽しみたい、リアルで会えない人と繋がりたいなど、人それぞれです。

 Clubhouseは楽しいため、近年で言うと、スマートフォンゲーム、Netflixなどの動画コンテンツ並みに時間を消費します。1日24時間の限られた時間を意味のある時間にするためにも、「自分が何をしたいのか」を考える機会にもなります。その結果として、聞いたことを何かしら自分に活かせるような、価値のある雑談と巡り会えると良いのかなと思っています。

 
他の連載記事:
「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 の記事一覧

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録