ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #55

出光興産 CDO三枝幸夫氏が見据える、ビジネス変革を担う「CDOの役割」

 

専門性の高い人たちで構成されたデジタル変革室


田岡 三枝さんが室長を務めているデジタル変革室は、どのような組織になっていますか。

三枝 昨年、立ち上がったときは3人でスタートしたのですが、今は30人弱に増えました。その約半分は部署ができてからの外部採用で、DXに必要な専門性を持った人材を来ていただきました。残り半分の人たちは、社内の他部署から異動してきた人で、たとえばプラントのオペレーションをしていた人や情報システム部出身の人、オイルの開発をしていた人など様々な人たちが組み合わさっています。

ブリヂストンでデジタルの部署を最初につくったときは、社内に人脈もあったし、色々と根回しや交渉もしていたので物ごとを進めるうえではやりやすかった一方で、DXの知識が乏しく、みんなで手探りでしていたため、障壁も多く時間がかかってしまいました。

今回はスピードを上げられるように、デジタルマーケティングや事業開発、デザイナーなど外部から専門性の高い人たちに来ていただくスタイルを取りました。すると今度は、専門性が一気に上がったものの、物ごとの考え方や進め方に既存のスタイルとギャップが生じてメンバーに苦労をかけてしまっているので、私のほうで各人が専門スキルを発揮できるようにもっと環境を整えていかなければと考えています。

よく、「CDOは外部人材がいいのか、内部からなった方が良いのか?」と質問を受けます。出光に来てまだ期間が短いので何とも言えませんが、あと何年かしたら、答えを出したいです(笑)。

田岡 CDO、DXを担う人材は、いまどこも欲しがっていてなかなか採用できないと聞きますが、どうやって集めたんですか?



三枝 口コミ採用というのが成功パターンです。たとえば、以前からデジタルをテーマにした集まりに出席してきて、築いてきたデジタル人材ネットワークがあるので、そこから紹介してもらうんです。

ITやコンサル系の会社に長くいた人は事業会社で、逆に事業会社にいる人はコンサルティング会社で働きたいと思っていたりします。でも、いざコンサルに転職してみたら、やっぱり事業会社に戻りたいという人もいるでしょうし、そういう流動性は常にありますよね。

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