「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #11前編

部下を伸ばす「良い1on1」と、伸ばせない「ダメな1on1」

前回の記事:
Clubhouseの功績は、数多の「価値ある雑談」を生んだこと
 

みなさん、1on1は好きですか?それとも苦手ですか?


 現在、メンバーの育成や相互理解において、社内外問わず、1on1ミーティングは欠かせないものになっています。ただし、どんな1on1が良くて、どんな1on1だと悪いのか、明確な基準がなく、人それぞれの「秘伝のタレ」みたいなものがあるだけのケースが多いようです。

 4月から新年度が始まり、マネージャーに昇格した人もいるでしょう。そんな時に前任のマネージャーが1on1をしていたため、なんとなく引き継いで、その後も惰性でやり続けてしまうこともあるかもしれません。

 そこで今回は、私なりに考える「良い1on1と、ダメな1on1の違い」を考えていければと思います。まず次の図をご覧ください。ここでは組織内の「上司」と「メンバー」で意識するポイントを8つに分けました。一つひとつ考えていきます。


 

①    何のための1on1をやっているのか?


 最初にやることは、目的・ゴールを双方で理解をすることです。

 忙しいビジネスパーソンにとって、相手と時間をとって話す時には、何のためにやるのか目的思考が大切です。だらだらと話す雑談の重要性もコロナ禍では見直されていますが、毎週設定されている1on1がいつも雑談だけでは、メンバーは「これは何のためにやっているんだ?」と思ってしまいます。特に、前任者から引き継いだ人は、1on1の見直しを行わずに意識なく続けてしまうことがあります。

 そもそも、何のために1on1を行っているのでしょうか?
 
  • 会社で上司とメンバーは、毎週30分話すことが推奨されているから
  • メンバーの進捗管理をするため
  • 上司の考えを共有するため
  • トラブルのシューティングのため

 こうした、さまざまな理由があると思っています。



 私が1on1をする理由は、シンプルに相手と信頼構築して相互理解をするためです。複数名が出席する会議で話しても、お互いの相互理解はなかなか進みません。それを1対1により、自己開示したり、相手に質問したりすることでお互いの考えがある程度わかるようになります。これをしばらく実施して時間が経って、信頼関係ができたのなら、1on1をやめればいいと思っています。関係値ができれば、1on1で話さなくても連携の取り方はいくらでも生み出せます。

 多くの人が参加している場で、信頼感や関係値がない人に対して鋭い質問をして、ぎくしゃくしてしまった経験を持っている人は多いのではないでしょうか?これを失くすために、まずは信頼感の形成を目的としています。

 信頼関係ができれば、週1回の1on1を月に1回にしても良いかもしれません。私は社内との1on1のペースを定期的に見直してします。また、Slackなどテキストコミュニケーションを組み合わせれば、もっと効率は上がります。コロナ禍のリモートワークでは難しいかもしれませんが、私の基本的な考えは週1回、密室で1on1をするのであれば、毎日自席で10分しゃべろうというのがポリシーです。席で話すと、周囲で聴いている人も自然に会話に参加してくる可能性があり、その方がオープンでチームビルディングが加速できます。

 まずは1on1を始める時に、目的を共有して、納得感を持って時間をもらうという姿勢が大事です。上司だからと言って、偉そうに時間をとるのはNGです。相互理解の場ですので、相手に敬意を表して時間をいただいているという謙虚な姿勢は忘れてはなりません。また、目的は相手の求めていることに応じて、常に内容をアップデートしていけば良いと思っています。ポイントは、相手を理解したかったら、本人を見るだけじゃなくて、その人が見ている世界を見る必要があるということです。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録