「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #11前編

部下を伸ばす「良い1on1」と、伸ばせない「ダメな1on1」

 

③    インプットではなく、双方向


 1on1の場で一番良くないのは、マネージャーからメンバーへの一方的な指示や、進捗確認に時間を使ってしまうことです。もちろん業務内容によっては、そういうタイミングがあっても良いと思います。しかし基本的な考え方としては、「for me」ではなく、「for you」というスタンスによって、1on1の質が大きく変わると思います。

 例えば、密室の1on1で進行しているプロジェクトの進捗管理の話になった時に、進捗が悪いメンバーに「なんで進んでないの?なんで?」と理由を聞くのは一番よくありません。心理的安全性が保たれずに、部下が心を塞いで「できもしないコミット」が発生しかねないからです。最悪のケースでは進捗管理の報告をごまかします。これは上司自身のための(for me)の自己満足な1on1です。



 同じような場合でも、「for you」であれば、マネージャーからメンバーに「プロジェクトの進捗で困っていることはある?」「私にサポートできることある?」という相手の立場に立った会話ができるはずです。その結果、意見が交わしやすく、心理的安全性が保たれている状態になります。

 ここまで丁寧にやる必要があるのかと思う人もいるはずです。人によっては、過保護に見えるかもしれません。ただし、マネージャーの仕事は、現在の戦力を最大化して結果を出すことです。そのためには、メンバーと双方向でディスカッションするための環境整備が大切だと思っています。
 

④    継続性を意識する


 関係値のない相手とは、たった1回、1on1をしたからといって相手の心を握り、信頼関係が結べることはありません。人は1回話しただけで相手を信用することはなく、何回も話すことで信頼ポイントが貯められます。よく言われていることですが、信頼は積み上げるのに膨大な時間がかかっても失うのは一瞬です。

 初めての1on1で良いことを言うだけでなく、継続することが大事です。メンバー目線に立つと、会社によっては上司がコロコロ変わるようなケースもあり、毎回新たに着任したマネージャーとの1on1で同じようなことを言われ、何も改善しないということはよくあります。

 そういうメンバーには、目的や意義レベルの握りもそうですが、継続的に話すことが何よりも重要です。1on1をするだけではなく、フリークエンシーをいかに上げるかが大切になり、チャットやテキストメッセージでフォローするのも効果的です。また、1on1の議事録はメンバー任せにせず、上司がつくり共有してあげる方が良い場合もあります。

※後編に続く
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